アメリカ FRBの「出口政策」

アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は9月20日、金融政策を決めるFOMC(公開市場委員会)で、保有する米国債や政府機関債などの資産を減らしていくことを決めた。10月から早速始める。

日頃、日経新聞を読んでいる人にとっては、FRBが近く資産規模を縮小することは常識だろう。私もその程度の常識は持ち合わせていたが、縮小決定までの経過は知らなかったので改めてネットで調べてみた。まだ、先のことだろうが、日銀もいずれ資産規模の縮小が視野に入ってくるだろうからFRBの「出口政策」の一端を知っておくのもムダにはならない。

今回のFOMCの声明を読むと(原文はこちら)、後ろの方に「委員会は10月に、2017年6月の「委員会の政策正常化の原則と計画に関する補遺」で説明したバランスシートの正常化プログラムに着手する。」という個所が出てくる。そこで、6月に出されたという「補遣」を調べると、償還を迎えた米国債は月60億ドル、政府機関債と住宅ローン担保証券(MBS)については月40億ドルを再投資(買い換え)しない、つまり合わせて毎月100億ドルずつ資産を減らしていくという。

「補遣」とあるのだから、その前に本則があるわけで、それは2014年9月に発表されていた。今回の「補遣」では具体的な縮小額が新たに提示されたのだということがわかる。

そして、これを読むとさらにさかのぼって2011年6月に元祖「正常化原則」が示されていることがわかった。これも探したけれど、ロイターさんには残っていないらしい。でも、こんなリポートを見つけた。

どうやら、元祖「原則」はその後撤回されたらしい(同リポートの5ページ)。MUFGさん、リポートありがとう。

もともとFRBによる米国債などの買い入れは2008年のリーマン・ショックへの対応で打ち出されたが、経済の回復に伴い、買い入れを少しずつ減らしていき、2014年10月には購入をゼロにした(QE3の終了)。でも、FRB保有の米国債など資産規模は小さくならなかった。ずっと、4兆ドルを超えた水準を維持し続けていたのだ。債券を償還せずに買い換えていたからだ。

ここのところ高値更新を続けるNY株価のベースにはFRBによる巨額のマネーの供給維持があるのかもしれない。3年間も4兆ドル超えの資産規模を維持し続けてもこれまでは目立った弊害も起きていない。アメリカ景気も過熱しているわけではない。ならば、現状維持でも構わないようにもみえる。しかし、景気が良くなれば、長期金利が上昇(国債価格は下落)するので、FRBにとっては巨額の含み損になり、それがドルの信認を低下させるので、ひとりFRBだけの問題では収まらない--と考えるから縮小の時期を模索
していたわけですね。「含み損→ドル信認低下」はマーケットの人たちが決めることなのでしょうが、やはり、それは必然の道?

スポンサーリンク

シェアする

フォローする