宿敵サウジとイスラエルが手を握る

エルサレムをイスラエルの首都と認めるというトランプ米大統領の決定は、事情を知らない者にとっては唐突な印象を受けた。北朝鮮との開戦もありうる状況下のいまこの時期に、中東問題というもうひとつの大きな火種になんでわざわざ油を注ぐ必要があるのか疑問もぬぐえない。世界を不安定化させる愚かな決定というのが欧州先進国の反応である。

決定の理由については、いろいろと想像を膨らませることはできるだろうが、サウジアラビアの姿勢の変化が決定の背景にあるようだ

記事は、「対イラン」という共通の土俵で、サウジ、イスラエルという宿敵が手を握り合ったのではないかという情報を盛り込んでいる。サウジもトランプ大統領の決定に反対の声をあげているが、「アラブ指導者らの反対は見せかけだけ」とホワイトハウスは見ているようなのだ。

サウジの変化には、ムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)皇太子の存在が大きい。急進改革派で、11月にも有力王族を大量拘束した張本人で、王室に波風を立てまくっている。

アラブ世界は、王室の家系は複雑そうで、そもそも登場人物の名前もわかりにくい。でも、今後の中東問題の展開を見通す上でも、サウジ王室について知識をきちんと整理しておこうと思った。

まず、王室の家系をチェック。サウジ政府のサイトではないが、このサイトが役立つ。

系図のトップにいるのが、サウジ初代国王のアブドゥルアズィーズ・イブン・サウード(1876~1953)。その下に息子たち10人が並んでいるが、右から2番目のサルマン・ビン・アブドゥルアズィーズが七代目の現国王だ。80歳を超えている。

ちなみにアラブの人名は、現国王を例にとるならば、最初の「サルマン」が名前、「アブドゥルアズィーズ」は父親の名前、「ビン」は「~の息子」という意味だ。日本や欧米のように姓、ラストネームはなく、ファーストネームで呼ぶのが礼儀らしい。
このサイトが丁寧に説明してくれている。

もう一度系図に戻って、その現国王の息子3人の右から2番目が、話題のムハンマド・ビン・サルマーン、つまり「サルマーンの息子」皇太子だ。

ムハンマドは、今年6月に、有力王族に代わって、副皇太子から王位継承1位の皇太子に昇格した

その交代劇も「宮廷革命」と称されている。ロイターが、電撃交代のその日を詳しく伝えている。おもしろい。

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