トランプのイラン核合意嫌いが北朝鮮核廃棄のハードルを高くする

アジアでは、南北首脳会談、それに続く米朝首脳会談の行方でもちきりだが、欧米では、アメリカがイラン核合意から離脱、あるいは破棄するかどうかが国際政治のもうひとつの焦点になっている。4月24日の米仏首脳会談でも仏マクロン大統領が米トランプ大統領に合意にとどまるよう説得した。トランプ大統領は決定を下す期限を5月12日としているが、その決定は、朝鮮半島の核廃棄を論議する米朝首脳会談に影響を与えるのだろうか。

検索してみると、ニューヨーク・タイムズの3月11日電子版に「イラン核合意軽視は北朝鮮との協定を難しくする」という記事があった。

その記事は、北朝鮮側の視点に立ち、アメリカの外交の継続性に疑問を投げ掛けている。トランプ氏がイラン合意から離脱すれば、正恩氏は、アメリカでは、どんな合意も将来、別の大統領が撤廃してしまうのでは、と考えてアメリカとの交渉に疑問を持つというのだ。

指摘の通りではあるが、過去、核放棄を世界に約束しながら、それを二度も三度も反故にしてきた北朝鮮のことだから身勝手な疑問ではある。さらに、トランプ氏は、TPP、パリ協定(気候変動抑制)と離脱の常習者であるから、金正恩労働党委員長にとってそのあたりは計算済みだろう。正恩氏は、今回の米朝会談を何かを勝ち取ることよりも、融和を印象付ける国際的なショーとして捉えている気がする。根拠に乏しいのでもっと調べねばならないのだが、中間選挙で勝利したいトランプ氏も同じ気持ちで、国際ショーは、お互い暗黙の前提になっているのではないか。トランプ氏の最近のツイッターが「正恩ベタほめ」に豹変したのもそのせいではないのか。

だから、会談では、「核放棄」の具体的な内容は、あまり詰めずに抽象的なレベルの言葉を散りばめるだけに終わる可能性がある。

トランプ氏に得点を稼がせるために、「アメリカに届く大陸間弾道ミサイルの開発中止」ぐらいの表現はしても、核放棄の検証方法などは協定作りとして後回しにされるのではないか。

問題は、ショーが終わったあとのその協定作成である。トランプ氏は、イラン核合意を非難することで自らそのハードルを高くしてしまった。ニューヨーク・タイムズの記事は、トランプ氏が、イラン核合意にとどまるとしても、これまでに核合意の内容を「甘く、不十分で危険(naïve, insufficient and dangerous)」と非難しているので、北朝鮮との協定は、その非難を乗り越えた内容にする必要があり、交渉は厳しいものとなるだろうと予測している。

実際、会談の下準備に正恩氏と会ったポンペオCIA長官は、CBSの番組で、イラン核合意を非難することは、正恩氏からよりよい合意を取り付けざるを得ないのでは、との疑問に「その通り」と答えたという。

ポンペオ長官は、更迭されたティラーソン国務長官の後任に指名されているが、ティラーソン氏は、イラン核合意を修正するようドイツに申し入れるようトランプ氏から指示されたものの、それを渋ったため更迭されたとも言われている。核開発には厳しい姿勢を取るトランプ氏だが、「イラン核合意はオバマ政権の仕事だから嫌いなだけ」との見方もされている。

確かに、ホワイトハウスのサイトにも掲載されている大統領宣言の中にさえも、「オバマ大統領が失敗した」「オバマ政権が愚かにも」と名指しで悪口を書いている。

5月12日までにアメリカの離脱・破棄か修正・残留が決まるイラン核合意。その内容をチェックしておくことは、米朝首脳会談を予測し、評価するのに役立つだろう。

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