米朝、水面下での交渉が進んでいるのか

4月27日の南北首脳会談で期待された非核化について、「板門店宣言」(韓国政府報道資料)は、「3-④ 南と北は、完全な非核化を通じて核のない韓半島を実現するという共通の目標を確認した」とあるだけで、具体的な手順は書かれず、北朝鮮の本気度を疑う見方が多かった。具体策は、5~6月に予定されている米朝首脳会談に持ち越されたとの見方もあり(日経新聞)、その場合、水面下での交渉が順調に進んでなければならない。トランプ米大統領の米朝会談への自信や楽観を振りまくツイッター(YAHOOニュース)を読むと、その可能性も捨てきれない。
しかし、南北会談直前の26日に、文在寅大統領の側近、任鍾晰(イム・ジョンソク)大統領秘書室長は、「北朝鮮が示した非核化の意思を両首脳がどの水準で合意し、どんな表現で明文化できるか。正念場だ」と記者会見で述べている(日経新聞)のを考慮すると、会談では期待以上の水準で合意できなかったと思わざるをえない。

トランプ氏は、米大統領として初めて北朝鮮指導者と会うことで世界の注目を浴びることに満足し、非核化は会談後の実務交渉にまかせてしまうという懸念を感じるが、大統領補佐官就任間もないボルトン氏ら側近は、脇を甘くしていない。南北会談終了後、ボルトン補佐官はCBSの番組で、「北朝鮮が核兵器を放棄したという具体的で目に見える証拠を示さない限り、北朝鮮への圧力が和らぐことはない」と語っている。

また、「検証可能な証拠(verifiable evidence)と完全で不可逆的な核廃棄(complete and “irreversible” denuclearization)がなされなければ、進展はない」と米国が主張してきた「CVID」の交渉原則を警告したという(The Guardian)。

南北会談で、金正恩委員長は、米国が休戦状態にある朝鮮戦争の終戦と北朝鮮への不可侵を約束するなら核は不要(日経新聞)と発言したそうだが、ボルトン氏は、そうした言葉やレトリックだけで引き下がりはしないだろう。もしもトランプ氏が、実よりも名を取り、適当なところで手を打とうとするならば、二人の間で確執が起こるのではないか。

来るトランプ-正恩会談で、どちらがポイントを獲得したかを判断するために、次回は、非核化の条件、手順などを整理してみよう。

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