7月30日週の政経予定 日銀決定会合予想 金融緩和見直しか

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30日週の政経日程

7月30日~
30日(月) 日銀金融政策決定会合(~31日)
31日(火) 日銀「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」
黒田日銀総裁会見
6月の労働力調査/有効求人倍率
6月の鉱工業生産指数/7月の消費動向調査
米公開市場委員会(FOMC)(~1日)/6月の米個人消費支出物価指数
8月
1日(水) FOMC声明発表
3日(金) 6月14・15日の金融政策決定会合議事要旨
6月の米貿易収支/7月の米雇用統計
(出所)時事通信、ジェトロ

30日の週は、30、31日(火)の両日に開かれる日銀の金融政策決定会合が要注目だ。同会合は、現状維持の決定が続いているが、今回は、メディアが「金融政策の見直し検討」を予告する記事を流してきたからだ。長期金利ゼロ%程度の操作目標に手をつけるだろうか。

各紙の報道と、どういう変更が考えられるかを、第一生命経済研究所の藤代宏一さんが、とても簡潔にまとめ、説得力ある見方も提供してくれている(THE PAGE)。

各紙が伝えているのは、こういうことです。
「2%のインフレ目標を達成できていないので、金融緩和は継続する、しかし、長く続く超低金利が金融機関の収益を圧迫するなど副作用が起きているので、ガチガチの緩和姿勢を和らげよう、と日銀が考えている」

それでは、副作用を薄めるため具体的にどんな政策変更を決めるのか。藤代さんは、変更なしも含め、確率の高い順に次のような決定を予想する。

①声明文に9月あるいは10月会合までに政策変更の必要性について分析することが記載される(政策変更の予告)
7月会合ですぐに政策変更すると、大幅な円高・株安を誘発する恐れがあるので、今回は予告にとどめる。

②政策変更も声明文も変更なし

③長期金利の誘導目標を「0.3%以下」といった具合に幅を持たせるように変更する(利上げ)

④声明文の長期金利誘導目標の箇所に「柔軟化」「弾力化」などといったキーワードを挿入。以後の指値オペ水準を変更し、事後的に利上げを実施(正式には政策変更ではないが、事実上の利上げ)。

緩和不十分派VS副作用重視派

日銀の内部事情はよくわからないが、事務方には、なるべく早く異次元緩和から脱するべきとの考え方が強まっているように見える。
今回のメディアによる「緩和見直し検討」の事前報道もその傍証だ。

一方、決定会合に出席する審議委員の中には、現在の金融緩和の水準では不十分でもっと緩和を強化すべきとの意見もある。

6月決定会合の場でも、物価が上がらないのは、経済がそこまでヒートアップしていないから、つまり緩和にブレーキをかける時期ではないとの意見が出ている。

「失業率が 2.5%となっているにもかかわらず、物価上昇率は高まらない。しかも、人手不足とともに労働市場に参入する人々が増えている。このような状況をみると、構造失業率は2%前後であるのかもしれない」(金融政策決定会合における主な意見の(物価)項目参照)。

ここで使われている「構造失業率」は、完全雇用(雇用の最大化)状態に達した時の失業率を指しているものと思われる(摩擦的失業率も含めた数字。失業率の内訳)。働きたい人が仕事できる完全雇用は、金融政策が目指す姿だが、最近の2.5%の失業率では、まだ完全雇用に達してないというわけである。物価が上がらないのもそのせいだ。

日銀は、かつて構造失業率を3%半ばと言っていたから、「失業率が十分に下がっているのに物価が上がらないのは謎」とされてきた。その理由について、黒田総裁は、長期にわたりデフレが続いたため、国民が「デフレマインド」から抜け出せないからと説明していた。

でも、謎でも何でもなく、単に経済が十分にヒートアップしていなかっただけ、という身も蓋もない結論が緩和不十分派の見方なのだ。

2日間の決定会合で、上記4つの可能性のうち②の変更なしと決めた場合、あえて対立的構図で描くとすれば、緩和不十分派が日銀事務方を抑えたことになるのかもしれない。