Q&A テスラの非上場化 なぜ? 空売りにキレたマスク

テスラCEOのイーロン・マスクが株式市場からの撤退を決めたというニュースには驚いたが、株式市場での空売り勢力にしびれを切らしたのだろう。でも、撤退に必要な資金の調達は本当にクリアできているのだろうか。

Q1 なぜ非上場企業にするのか

空売り勢力は、株価が下落すると見込んだ企業に賭けてくるが、「テスラの空売り残高は約105億ドル(約1兆1700億円)相当に膨らみ、テスラは米国で空売りの最大の標的となっていた」(ウォールストリート・ジャーナル)。

マスク氏にとってはこれが我慢できなかったようで、5月2日の1~3月期決算の電話会見では、彼が空売り勢力と見なすアナリストの質問にキレて、大荒れの会見となった。マスク氏は「つまらない、愚かな質問だ」と一蹴、「クールじゃない、はい次」と、質問を遮ってしまったのだ(ウォールストリート・ジャーナル)。

マスク氏は翌々日の4日、ツイッターに、質問したアナリストらは空売り筋を代弁しているためだったと釈明する一方、質問に答えなかったのは「愚か」だったと認めた(ウォールストリート・ジャーナル)。

今回、株式市場からの撤退を決めたのは、空売り勢力からの攻撃を避けるためだけの理由ではないかもしれないが、マスク氏の心を決める大きな要素になっていたに違いない。

Q2 テスラの経営にメリットがあるのか

BUSINESS INSIDERが、社員向けに流したマスクCEOのメール全文を掲載しているが、その中で、マスク氏は、「テスラは、これまでにない最大の空売りを仕掛けれらており、上場企業であることは会社を攻撃する動機を持つ人々が大勢居ることを意味する」と記している。

そして、四半期の決算発表ごとにプレッシャーのかかるような短期的な思考から自由になり、長期の視点で運営できることが、非上場化の狙いなのだという。

マスク氏が設立し、ロケット再利用の成功で宇宙ビジネスをリードしているスペースXは非上場であるがゆえに、「はるかに効率的」な運営を果たせているとメールで引き合いに出している。

Q3 非上場化のハードルは越えられるのか

株式の非公開化には、自社株を買い取る資金が必要だが、マスク氏が言う、1株420ドルだとすれば、時価総額で720億ドルとなる。机上の計算では、銀行からは250億ドル程度の借り入れできる見込みのようだ(ロイター)。

ロイター記事は、こう言う。「必要な額に500億ドル足りないように見えるかもしれない。しかしマスク氏自身は保有しているテスラ株20%を売却するわけではない。しかも依然として株主から絶大な信頼を得ている。トムソン・ロイターI/B/E/S業績予想によると、マスク氏が株式非公開化を明らかにする前のテスラ株は2020年の業績予想に基づくPER(株価収益率)が約40倍だった。多くの小口投資家はマスク氏の提案を受け入れ、非公開化されても株式を保有し続けそうだ」。

「マスク氏は上位20の大株主の多くにも保有株を手放さないよう説得できるだろう。こうした大株主のテスラ株の保有比率は50%を超えている。たとえかなりの数の大株主がテスラ株を売却する道を選んだとしても、代わってテスラ株を購入する投資家には事欠かない。例えばサウジアラビアの政府系ファンドパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)はテスラの5%弱の株式を取得した。ソフトバンクグループ(9984.T)の「ビジョン・ファンド」の資金はほぼ1000億ドルに達しているとみられる」

ということで、非公開化はやろうと思えば可能のようだ。しかし、この記事を書いたコラムニストは、マスク氏の苛立ちは解消するだろうが、非上場になったからといって,新型車「モデル3」の生産が滞る問題は解決するわけではなく、多額な債務を新たに背負うことは危険だと指摘している。

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