日中接近 習近平主席、来日して首脳会談も

日中関係の改善が進んでいる。5月に中国首相としては8年ぶりに李国強首相が来日したが、年内には安倍首相が訪中して習近平主席との会談が実現しそうだ(9月の自民党総裁選での3選が前提)。来年には、習近平主席が来日しての首脳会談がありそうだ。

日中韓サミットで5月に訪日した李首相は、安倍首相との会談後の共同記者会見に臨み、「この一時期,日中関係は回り道を歩んできたことは否定できない。しかし,近来,日中関係には改善の兆しが現れ始め,そして持続的に安定し,前向きな体制になっている」と関係改善を強調し、「中国側としては,安倍総理が適切な時期に中国を公式訪問することを招請したい」と訪中を要請したことを明らかにした(外務省)。

「適切な時期」については、その後、日経新聞が、複数の政府関係者の話として、「10月に訪れ、習主席との首脳会談を検討している」と伝えている。日本の首相が国際会議出席の機会を除いて単独訪中したのは2011年12月の野田佳彦前首相が最後という。

このほか、「9月のロシア極東ウラジオストクでの国際会議の際に、現地で日中首脳会談を開催する方向で検討」(共同通信)、年末に北京で日中韓首脳会談開催(読売新聞)など、日中の接近を示す記事が続いている。

トランプの攻勢に対抗

日中両国が接近し始めたのは、トランプ大統領の保護主義的な貿易政策にあるようだ。中国は、米国からの経済制裁に対抗し、日本と同様に自由貿易を求める、安定した信頼できる勢力だ、というイメージを醸し出す好機と捉えている。さらに、日本の高度な技術の導入も求めている。

日本も、米国の保護主義に対抗するために、自由貿易システムを共に発展させる味方が必要だ。日本は、実現困難と思われた米国抜きのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)をまとめあげ、次に、中国、日本、インド、東南アジア諸国を結びつける「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」推進でより積極的な役割を果たそうとしている(ウォールストリート・ジャーナル)。

日本政府は、習主席の来年訪日に持っていきたいようだが、来年は6月に大阪で、20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれるので、習主席も来日するだろうから、首脳会談はその前後に設定されるのだろうか。

いまのところ、安倍首相訪中などの会談の日程をめぐる報道が先行して、習主席と会って、いったい何を話し合い、決めるのか、内容についての報道は目に付かない。日本の「一帯一路」への協力やAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加などを考えているのだろうか。AIIB参加は、米国からイエスをもらわなければ踏み切れないはずだ。いっそのこと、米国を巻き込んで参加に持ち込めば、中国は大喜びすることだろう。

尖閣問題は、中国が静かにしていれば、棚上げできるかもしれない。習主席は、昨年10月の共産党大会で権力基盤を強化したので国内強硬派を抑え込むのも可能だろう。しかし、南シナ海への進出は、「太平洋と米国と二分する」という習主席の外交方針に合致するものなので、妥協できないテーマだ。

だとすれば、会談は、外交問題にはなるべく触れずに、経済問題に焦点を当てることにならざるをえないだろう。

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