8月19日週の政経予定 トルコリラ、新興国への波及続くか  

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8月19日週政経予定

8月19日~
20~23(木) 米、対中2000億ドル追加関税公聴会
22(水) 国民民主党代表選告示
22~23(木) 米中次官級通商協議(WSJ報道)
23(木) 各国中央銀首脳が出席するジャクソンホール会合
24(金) 7月の全国消費者物価指数
ソウル高裁が収賄事件で朴槿恵韓国前大統領に判決
(出所)時事通信、ジェトロ

急落しているトルコリラは、一時戻したが、下落が止まる兆しはない。19日週も同じような展開が続きそうで、相変わらず他の新興国通貨への波及が焦点になる。一方、トランプ政権は、ここぞとばかりにトルコに追加制裁に踏みきるタイミングを考えていやしまいか。

トルコの難局は、拘束中の米国人牧師の解放など、対米関係の改善策を打ち出さない限り、乗り越えるのは難しいが、17日には、トルコの裁判所が、その牧師、アンドリュー・ブランソン氏の釈放を求める訴えを退けた。

この判決を受け、17日のトルコリラは、一時は7%下落し、日本時間18日午前2時03分時点で、約4%安の1ドル=6.0450リラに落ちた(ロイター)。

追い打ちをかけるように、格付け会社のS&P、ムーディーズがトルコの信用格付けを1段階引き下げた。トルコリラの大幅下落で「トルコ経済が弱体化」「トルコの公的機関の弱体化(有効な政策が打てない)」が格下げの理由だ(ロイター)。

トルコが米国に屈服しない限り、根本からの好転はないだろう。しかし、独裁色を強めるエルドアン大統領は国内に弱気の姿勢を見せられないだろうからトルコ経済の苦境は長引くだろう。

問題は、トルコの苦境が世界経済に波及するかだ。トルコのGDPは、8500億ドルで、世界17位。スペイン、メキシコ、インドネシアに次ぐ。経済規模からすれば、世界に波及するようなスケールではない。

しかし、今回の問題が通貨安から始まっていることから、新興国通貨への波及が第一の懸念となっている。1997年のアジア通貨危機は、タイ、インドネシアから始まった。

今回は、インドルピー、ロシアルーブル、南アランド、インドネシアルピーが下落したが(ロイター)、その後、安値へのブレーキはかかっている。

難民問題への懸念

第二の懸念は、トルコに債権の多い、欧州金融機関のダメージだ。
これは、数字を見ると、それほど大きなものにはならないようだ。「ここでユーロ圏4大国(ドイツ・フランス・イタリア・スペイン)の国際与信残高合計に占めるトルコ向け与信残高の割合を計算してみると2%にも満たないことが分かる」(ビジネスインサイダー

むしろ、この記事の筆者の唐鎌大輔氏が懸念するのは、難民をせき止めている「EU-トルコ合意」が機能しなくなることだという。そうなれば、欧州の政治状況は不安定化する。

首脳会談目指し、米中協議再開

22~23日に米中の貿易紛争をめぐり、両国の次官級会談が開かれる。次官級なので、ゴールへの道を踏み固める段階で決着にはまだまだ紆余曲折があると考えていたら、ウォールストリート・ジャーナルが18日の電子版で、11月に首脳会談を目指すとの記事が出た。共同通信はこの記事を追いかけている。

ウォールストリート・ジャーナル紙は、こう伝える。
米中は、「ロードマップ(行程表)を策定しており、各国首脳が出席する11月の会合の場で、ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談を設け、最終決着を目指す青写真を描いている。当局者が明らかにした」

しかし、トランプ政権内では、中国への対応をめぐって二派に割れている。ひとつは、適当なところで手を打とうという米財界寄り、市場重視派の財務省、国家経済会議(NEC)で、もうひとつは、さらに中国から譲歩を引き出そうとする通商代表部(USTR)だという。

もともと、米中貿易紛争に、米中覇権争いの意味合いも込めるピーター・ナバロ国家通商会議委員長らの対中強硬派が控えており、記事が伝えるよう11月首脳会合の実現には紆余曲折がありそうだ。

このウォールストリート・ジャーナル記事の「当局者」は、原文では、「officials in both nations」と米中の当局者が語っているが、米側は財務省がソースだろうか。

いずれにしろ、今週の次官級協議は、11月首脳会談のゴールへの一里程標と位置付けようとしていることがわかったが、追加関税の一時中断や、あるいは決裂のような方向性を定めるようなことにはならないのではないか。

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