サンダースVSアマゾン 「悪徳企業阻止法案」提出

2016年の米大統領選挙で、民主党に「サンダース旋風」を巻き起こしたバーニー・サンダース上院議員が、アマゾンと真っ向から対決している。

民主社会主義の旗を掲げるサンダース上院議員は、5日には、アマゾンやウォルマートを想定に狙い撃ちした法案を提出した。従業員500人以上の企業で、従業員が低賃金のため、連邦補助金を受給している場合、補助金と同額の税金を企業から徴収するという内容だ(ウォールストリート・ジャーナル)。

サンダース上院議員の言い分は、給料水準が低い企業の従業員の生活補助は税金ではなく、企業が利益でまかなえというものだ。

同氏は、テクノロジーメディアであるTechCrunchの電話インタビューにこう答えている。
「アマゾンで働く人のおおよそ半分が年に2万8000ドルももらっていない」
「アメリカ中のアマゾン倉庫で働く労働者の多くが極めて少ない賃金で働いているという確証を持っている」
「こうした情報を入手するのは難しい。アマゾンは協力的ではない。我々がかき集めた情報では、お分かりの通り、アリゾナのアマゾン労働者の3人に1人が公的な支援を受けている。メディケイドやフードスタンプ、公営住宅を利用している」
(TechCrunch編集部注:メディケイドは米国の低所得者向けの公的医療保険、フードスタンプも低所得者向けの食料品購入のための公的補助制度)。

批判の矛先は、アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス氏にも向く。
「この国の納税者は、1500億ドルもの資産を持つ男に助成金を支払うべきではない。彼の富は毎日2億6000万ドルも増えている」
「まったく馬鹿げた話だ。彼は従業員が最低限の生活ができる賃金を払うのに十分な金を持っている。彼は企業福利も必要としていない。我々の目的は、ベゾスが従業員に対し生活できるだけの賃金を払うようにすることだ」

提出した法案を説明する記者会見で、サンダース上院議員は、法案で意識しているのは、「アマゾンだけではない」と言いながらも、
プレスリリースには、「Stop Bad Employers by Zeroing Out Subsidies Act(補助金相殺で悪徳企業の阻止を)」と名付けた法案の一部の頭文字をとって名称を短縮し、「BEZOS Act(ベゾス法)」と皮肉ったというから(前出ウォールストリート・ジャーナル)、記者たちも苦笑したことだろう。

サンダース上院議員は、アマゾンの低賃金だけでなく、労働環境についても批判している。

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アマゾンの反論

こうした批判に対し、アマゾンは、8月29日の自社ブログに、「サンダース上院議員は、賃金や公的補助について誤った主張を広げ続けている」と反論を掲載した。
「アマゾンは昨年だけで13万を超える雇用を新たに生み出したことを誇りに思う。米国の梱包センターでフルタイムで働く人の平均時給は残業前で15ドル以上だ。これには給与、株式、ボーナスが含まれる。また、アマゾン労働者の平均年収が2万8446ドルとする主張は、米国外やパートタイム労働者を含む額で、フルタイムの米国内労働者に限ると3万4123ドルになる。同業他社と比べるようお勧めする」

従業員の公的補助受給についても、「アマゾンだけで短期間働いた人、パートタイムを含めており、彼、彼女らはほとんど公的補助を受ける資格を持っている」と受給者の割合が高い理由を説明している。

サンダース上院議員は、11月の中間選挙に向け、民主社会主義系の候補者への支援を続けており、7月には、ニューヨーク市クイーン区の民主党下院予備選で、サンダース系のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏(28)が、民主党ナンバー4で、10期当選の現職、ジョセフ・クローリー下院議員に勝ってしまうという番狂わせを起こしている。選挙が近づくにつれ、大企業告発の動きはさらに活発になるかもしれない。