ゴールドマン・サックスがグーグル化しつつある

株式トレーダーと言えば、巨額のお金を動かし、高収入の花形仕事だが、いまや金融の総本山ともいえる米ゴールドマン・サックスの本社には、たった2人しかいないという。

『大予測 次に来るキーテクノロジー』(城田真琴著、日本経済新聞出版)に載っている話だ。紹介しよう。

「2017年1月にハーバード大学の応用計算科学研究所が主催したシンポジウム「データとお金、そしてアルゴリズム」に登壇したゴールドマン・サックスの前CIO(最高情報責任者)、マーティン・チャベス氏は「データ、コンピューティング、そして金融の変革」と題する講演の中で、衝撃的な事実を明かした。」

(本には、講演の演題を英語で丁寧に紹介している。きっと「検索すると出てくるよ」という筆者のメッセージだと思い、「DATA,Computing,and Transformation in the Financial Industry」を検索したら、YouTubeで見れることがわかった)。

600人の株式トレーダーが消えた

「2000年に、ニューヨーク本社に在籍していた600人の株式トレーダーは、今では2人しかいない。彼らは大口顧客の注文を受けて株式の売買を行っていたが、今では、日々の取引作業は(AIを活用した)自動取引プログラムが代替している」

株式取引だけではなく、為替取引の自動化を進めており、チャベス氏は「4人のトレーダーを1人のコンピュータ・エンジニアに置き換えられる」とも述べ、今後は投資銀行業務の自動化にも着手する予定だそうだ(同書41~42㌻)。

もう1年半以上前の講演なので、すでに投資銀行の仕事はAIに代替されているかもしれない。

そして、AIが金融の世界で重要な役割を果たすにつれ、ウォールストリートでは、コンピュータ・エンジニアの需要が高まっているという。

1990年代に、数学を駆使するデリバティブと呼ばれる金融商品が導入されたとき、ロケットサイエンティストたちのウォールストリートへの転職が話題になったが、いまのエンジニア需要熱の高まりは、その時の比ではなさそうだ。

ゴールドマン・サックスでは、すでに全従業員の約3分の1にあたる9000人がコンピュータ・エンジニアだという。彼らが自動化プログラムを開発し日々のシステム運用を担っているという。

チャベス氏は、講演の中で「ゴールドマンのビジネスモデルは今やグーグルのようだ」と世界屈指のIT企業であるグーグルを引き合いに出し、自社がIT企業になりつつあることを示唆した。

「金融業界ではAIの活用が不可欠になるにつれて、「金融の専門家にAIを学ばせるより、AIの専門家に金融を学ばせる方が簡単だ」という半分冗談めいた言葉も頻繁に聞かれるようになった」(同書45~46㌻)。

Kobaちゃんは、金融もAIも表面的なことしか知らないが、この「半分冗談めいた言葉」には説得力を感じる。金融マンがAIを1から学んで仕事ができるレベルに達するのは大変そうだ。

そうした動きをみると、コンピューターに指示するプログラミングの知識はこれから必須になるのかなと感じる。日本でも、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることが決まっている。

もっとも、小学校で教えるのは、「プログラミング的思考」であって、プログラミング言語を教えるわけでないそうだ。「プログラミング的思考」とは、物事には手順があり、手順を踏むと、物事をうまく解決できるといった、論理的に考えていく力のことだ(AERAdot.)。

エンジンの仕組みを知らなくても車の免許は取得できるし、運転できる。AI、ITを深く知らなくても、パソコン、スマホは使える。義務教育の段階で、ITの知識をどこまで身に着ければいいのか判断がつきかねるが、パソコンが動く仕組み、プログラミングを書くぐらいまでは学んでもいい時代になった気がする。

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