5G競争 リードする米中韓日

次世代通信の5Gに関する記事が目に付くが、なぜ5Gが重要なのかをまとめたウォールストリート・ジャーナルの「5G一番乗りはなぜ重要か、リードする米中韓日」(9月14日電子版)を紹介しよう。

現在主流の4Gは米国が主導し、4Gのお陰で動画や大量のデータを高速でスマートフォンに送れるようになった。その結果、「起業家がスナップチャットのような発想を試すのを助けた。データの重いスマホアプリの利用も促した。3Gネットワークは速度が遅く、インスタグラムの動画や画像をダウンロードするのに忍耐が必要だった」

4Gは米国企業に多大な利益をもたらしたが、5Gはそれを上回るという。「数年後に5Gが全面的に機能するようになれば、現在は数分かかるスマホへの映画ダウンロードが数秒で済む。データはほぼ瞬時に移動するようになり、人の反応速度に近づいて自動運転車が事故を避けるのに役立つだろう。実際、複数の専門家が、5Gは自動運転車の成功に欠かせないと話している」。

さらに、IoT(モノのインターネット)の普及には5Gが欠かせないようだ。「4Gが接続できる機器は1平方キロ当たり最大2000台だが、5Gは最大100万台サポートできる可能性がある」からだ。

5Gによって、身の回りのものをインターネットに接続することができるので、工場の機械の各部分にチップを埋め込んで故障を知らせたり、家畜にチップを埋め込んで病気や出産を知ったり、心臓や血液のモニターを人体に埋め込み、自動で医師に数値を送ることも可能なる。

高まる中国への警戒感

米政府は、5Gのこうした大きな可能性に注目しており、記事は、米当局者の「5G競争を制することは経済と国家安全の両方にとって重要だ」というコメントを紹介している。

安全保障の面では、米当局が、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)がスパイ活動をしかねないと考えている。5G時代になるとそのリスクがはさらに高まるという。ネットに接続する機械や物が急激に増えるからだ。

経済の面では、中国が先に5Gを開発したら、自動運転車などの新興技術の実験で米国より好位置につけ、シリコンバレーの地位を奪いかねないことを心配している。

また、通信インフラの変革は、4Gの時と同じように新たなITビジネスを生む。記事は、連邦通信委員会(FCC)の元委員ロブ・マクドウェル氏の談話を伝える。
「世界のウーバー、エアビーアンドビー、ネットフリックスの類いは4Gがあったから誕生した」「誰もアプリ経済の到来を予見していなかった。5Gで面白いのは、何が起きるか誰にも本当には分からないことだ」 5Gで出遅れれば、「米国は世界の競争で不利」に追いやられるという。

「日本は「3G」を主導したが、2000年代初頭に開発したソーシャルネットワーキングや音楽のサービスを十分に活用できなかった。事業が日本中心だったことなどが原因だ」と専門家の指摘も書かれている。NTTドコモのiモードのことを言っているのだろう。

この記事の冒頭では、5G競争で、「序盤をリードしているのは米国、中国、韓国、日本」と日本が先行組に入っているのだが、記事後半で紹介される米携帯電話業界団体CTIAの研究によると、「中国、韓国、米国はこの順で5G競争をリードしている。」と日本が抜け落ちてしまう。

そして、3カ国の状況をこう伝える。
「中国がトップなのは、通信会社が大規模な5Gネットワークを20年までに導入すると言明し、政府がサポートしているからだ。
韓国は今年の冬季五輪で5Gを試した。7月には、国内通信会社が19年3月に5Gを一斉に導入すると政府が発表した。競争による販売コスト上昇を避けるためだという。
米国では年内に5Gネットワークが稼働し始める見通しだが、数都市のみだ。AT&Tはダラスやアトランタなど、ベライゾンはカリフォルニア州サクラメントなどを選んでいる」

記事は、5Gのインパクトを疑問視する意見も紹介しているが、基本的には米国が5Gに乗り遅れないことを訴える内容になっている。この勢いは止まりそうもない。

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