ZOZO前澤の月周回旅行とマスクの打ち出の小づち

サウジアラビアの政府系ファンド「PIF」が、米新興電気自動車メーカー、ルーシッドモーターズに10億ドル余り出資するとブルームバーグが18日、伝えた。

ルーシッドとは、あまり聞いたことのない企業だがテスラのライバルになるらしい。PIFはこれまでテスラの株式を買い増してきたし、テスラのイーロン・マスクCEOが8月に非公開株化をめざすと宣言したとき、その資金源がサウジの政府系ファンドであることをツイッターで明かしていた(Kobaちゃんの硬派ニュース)。

それが、一転してライバル会社に出資したとなると、テスラに見切りをつけたとまではいかなくとも、不信感の表れと受け止めてしまう。

マスク氏は、いったんは非公開株化をめざしたものの、8月24日のツイートで断念したと書くなど(WIRED、この半年間のマスク氏のツイートとテスラ株の動きを追っている)迷走している。そもそも、非公開株化の動きが唐突で、四半期決算ごとにアナリストから追及されるのが嫌になった挙句に出た行動だったようだ。マスク氏は、攻撃的なアナリストを空売り勢力とみていた。

テスラの難題である資金難はまだ続いている。累積の赤字額は121億ドルに達するが、モデル3の生産がなかなか軌道に乗らなかったテスラにとっては重荷の額だ。

新株発行や借り入れを拡大すれば、資金調達できるだろうが、「新株発行は株主価値の希薄化による株価下落、借り入れ拡大には利払い費の増加と財務の一段の悪化」を招くので、踏み切りにくいという(日経新聞)。

奥の手はスペースX

そこで奥の手として登場するのが、マスク氏が創業した衛星打ち上げベンチャー、「スペースX」。「スペースXにテスラを買収させたり、マスク氏が保有するスペースX株を担保に資金を借りてテスラを買収したりという判断もあり得る」と記事は伝える。

スペースXは、衛星打ち上げに使ったロケットの海上での回収を何度も成功させ、宇宙ビジネスで一歩先を行く存在。それだけに企業価値は450億ドル(約5兆円)前後という試算もある。

スペースXがマスク氏の切り札として取りざたされる中、「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの創業者、前澤友作社長がスペースXの月周回旅行の搭乗客第1号となることが発表された(ハフィントンポスト)。マスク氏と前澤社長がそろって18日会見して脚光を浴びたが、マスク氏にとっては久しぶりの明るいニュースとなったことだろう。

発表まで世間の関心を盛り上げようとしていたようで、ハフィントンポストによると、スペースXは13日、月の周りを飛行する契約を個人と初めて締結した、と公式Twitterで明らかにしていた。このツイートに付いたコメントに返答する形で、マスク氏は日の丸の絵文字を投稿。契約者が日本人であることを示唆していた。思わせぶりだった。

スペースXとマスク氏の関係を世界中に知らしめるいい機会と考えたのだろう。それが世界の金融機関やファンドの財布の紐を緩めるとは思えないが、多少の追い風にはなるかもしれない。日経の記事が伝えるように、スペースXを打ち出の小づちにする計画なのか。