このデータベースがすごい! №3 国際経済なら、まずここを見ろ→ジェトロビジネス短信

国際経済、ビジネスを調べるならジェトロ(日本貿易振興機構)のページだ。とりわけ「ビジネス短信」は日々のニュースを追っており、米国発の貿易紛争を調べた時には大変参考にさせてもらった。

今年、各国の外交テーマになった米国の追加関税攻勢は、その準備が昨年4月から始まっているのだが、ビジネス短信は、今に至るまでの経過を丁寧にフォローしているので、それに基づいて年表を作った。お陰で、流れをつかむことができた(Kobaちゃんの硬派ニュース)。

読んでいて、ビジネス短信に好感が持てるのは、①事実に徹し、憶測と区別して書いていること、②その事実の出所をリンクで明らかにしていることだ。

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新聞よりも正確に伝える

たとえば、先日、安倍-トランプ会談で決まった経済協定(日米物品貿易協定)について見てみよう。

自動車の追加関税を回避できるか、農産物輸入拡大をどこまで認めるかが日本にとって気にかかるところだった。その点を、新聞はどう伝えていたか。

たとえば、毎日新聞夕刊(9月27日付け)は、共同電で「日米共同声明のポイント」を表にして載せている。それを見ると、農産物については、「農林水産品は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で合意した水準までしか関税引き下げを認めないとの日本の立場を米国は尊重」と、追加関税については、「(今後の)協議の間は自動車への追加関税など共同声明の精神に反する行動を取らない」と書かれている。

本文の記事も、このポイントに基づいて書かれている。ところが、翌日の朝刊に載った共同声明にはTPPや自動車の追加関税といった言葉は実は、ひとことも書かれていないのだ。

ビジネス短信のリポートは、その個所を声明を引用しながら正確に伝えている。

「日本側の農業・林業・水産業の市場アクセスに関しては(共同声明には)日本との過去の経済連携協定(economic partnership agreements)で約束されたものが上限(maximum level)になると記載された。また、「日米両国は信頼関係に基づき議論を行うこととし、その協議が行われている間、本共同声明の精神に反する行動を取らない」との文言が入った。通商専門誌「インサイドUSトレード」(9月26日)は、この文言は1962年通商拡大法232条に基づきトランプ政権が発動を検討している自動車・同部品に対する関税賦課について触れたものと報じている。」

共同声明に書かれていないことは書かないし、書いたときは、その出所が「インサイドUSトレード」であることを明らかにしている。前出の共同電の「ポイント」は、政府側のブリーフィングなどをまじえて書いているのだろう。どこまでが声明で、どこまでがブリーフィングなのか判然としない。

ビジネス短信は、情報の出所元をリンクで明記しているのもありがたい。リポートの元になった大統領令など1次情報をたどることができる。検証できるのだ。インターネットの時代には朝飯前のことなので、もはやありがたみが薄れてしまったかもしれない。

だが、ネット前の時代には、在米日本大使館の職員がFAXで東京に送っていただろう情報を、公表と同時にネットで一般人も入手できるようになった。以前は、政府や政府に取材するメディアが独占していた情報が開放されたのだ。情報の民主化をありがたく思う。

ビジネス短信のページは、ジェトロの国別のページへ行き、米国の最近の動きを知りたいならば、北米→米国→「ニュース・レポート」欄の「ビジネス短信」をクリックすれば出てくる。

ほかの国のリポートはまだ読んでいなかったので、ためしに、中国をクリックすると、11月から工業品などの輸入関税を引き下げるという最新リポートが載っている。そこにも中国政府発表の1次情報がリンクされているので飛んでみたが、発表文が中国語だけしかないようで、Kobaちゃんには解読不能だった。

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