米中間選挙は11月6日の投票までほぼ1週間となった。終盤に入った選挙戦の見通しを今週もRealClear Politicsでチェックしてみよう。
29日午前10時にアクセスした結果が下の表だ。1週間前に比べ、上院はほとんど変わらず、下院は、先週、拡大にブレーキがかかった共和党が再び、ほんのわずかだが伸びた。しかし、伯仲状態は続いており、過半数を制するのが民主党なのか共和党なのか、以前として見当がつかない。混戦状態のまま選挙当日にもつれ込み、票がすべて開くまで結果がわからない大接戦になりそうだ。
※RealClear Politicsの予測の見方については、8日のブログに少し書いたので、ご参考に。
RealClear Politicsの中間選挙予測獲得議席数 | |||||
【上院】 | 過半数51 | ||||
5日18時 | 7日15時半 | 15日8時 | 22日10時 | 29日10時 | |
民主党 | 44(37,3,4) | 44(37,3,4) | 44(37,3,4) | 44(37,3,4) | |
共和党 | 48(46,1,1) | 50(46,1,3) | 50(46,1,3) | 50(46,2,2) | |
激戦 | 8 | 6 | 6 | 6 | |
【下院】 | 過半数218 | ||||
5日18時 | 7日15時半 | 15日8時 | 22日10時 | 29日10時 | |
民主党 | 206(173,14,19) | 205(173,14,18) | 205(173,14,18) | 205(173,14,18) | 205(173,15,17) |
共和党 | 194(161,13,20) | 196(161,13,22) | 201(161,13,27) | 199(155,18,26) | 201(154,19,28) |
激戦 | 35 | 34 | 29 | 31 | 29 |
※カッコ内の数字は「安全圏、優勢、やや優勢」 の順 | |||||
上院の「安全圏」は非改選議席を含む |
上院は、民主44、共和50、激戦(Toss Ups)。共和がノースダコタ州で「やや優勢(Leans)」から「優勢(Likely)」に転じた。
下院は民主205、共和201、激戦29。10月5日時点から見ると、共和党が獲得議席数を増やしているが、その内訳を見ると、「安全圏(Safe)」は減らしている。
下院の現有議席数は、民主193、共和236、欠員6なので、民主党が議席数を増やすのは確実だが、大統領弾劾訴追できる過半数218にはまだ遠い状況にある。
「米中貿易紛争」に反発する州の情勢
「米中貿易戦争の間接的な主戦場」と言われる大豆の産地、アイオワ州(米中西部)では、4選挙区のうち、民主党が現有1議席を確保、現在、共和党の2議席は、民主党「やや優勢」と「激戦」となっている。
中国が報復措置として米国産大豆に関税を課したので、トランプ政権への反発が強い州で、中国がトランプ大統領の膝元を揺るがそうと「9月23日付のアイオワ州地元紙「デモイン・レジスター」に、トランプの貿易戦争がアメリカの農家のためにならないという「記事」を差し込んだのだ。」(現代ビジネス、渡辺将人・北海道大学准教授)。「記事」というのは、記事そっくりに仕立てた広告で、スポンサーは、中国共産党系英字紙「チャイナ・デイリー」だった。中国も露骨な嫌がらせをやるもんだ。
しかし、渡辺准教授は、民主、共和の雌雄を決するのは貿易紛争よりも「文化戦争」が鍵と見る。「アメリカの有権者は、経済利益と社会要因が天秤にかかると後者を選ぶ。中絶の非合法化を悲願とするキリスト教保守は、最高裁の保守化を熱望している」。
カバノー氏の最高裁判事就任をめぐり、リベラル派の攻撃を受けた共和党は逆風を盛り返そうとかえって勢いを増したが、トランプ政権は「選挙直前に満を持してトランスジェンダー排除の検討まで持ち出すなど、キリスト教保守への念押しに全力を注ぐ」戦法を徹底させている。