【今週起きたこと(11月12日~)】2島返還、ロシアにメリットあるのか

11月12日~18日 ※海外は現地時間 JST=日本標準時18日まで出来事を順次追加、更新
12(月)
13(火) 安倍首相、ペンス米副大統領と会談(東京)
入管法改正法案を衆院本会議で審議開始
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(シンガポール)
英がEU離脱合意文書を公表(英紙タイムズ報道)
14(水) 日ロ首脳会談(シンガポール)北方領土2島先行返還に転換 こちら
7~9月期のGDP速報値 こちら
15(木) 東アジアサミット(シンガポール)
アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議(ポートモレスビー)
16(金)
17(土)
18(日) APEC首脳会議(ポートモレスビー)
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[日ロ首脳会談]

安倍首相とプーチン大統領による日ロ首脳会談が14日(水)、シンガポールで開かれた。1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意した。「56年宣言は平和条約締結後に歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島の2島を引き渡すと明記している。日本政府は従来、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)の2島も含めた北方四島の一括返還を求めていたが、首相は今後の交渉で2島の先行返還を軸に進める方針に転換した」(朝日新聞)。

2島返還の実現性が高まったような雰囲気をメディアは醸し出しているが、そう簡単に返還するような国なんだろうか、ロシアは。返還するメリットがロシアにあれば可能性も高まるだろうが、果たしてあるのか。

と思って調べたら、2017年3月の論評だが、タス通信東京支局長、ワシーリー・ゴロヴニン氏のこんな発言があった(Yahoo!ニュース)。

「いまのプーチン大統領は国民の支持率も高く、アメリカとの関係も改善される可能性が高い。いまロシアが北方四島を引き渡すことで得られるメリットはほとんどないと思います。」

「ロシアにとって日ロ交渉は日本を引き寄せることで、G7の連携を崩せる。ただ、トランプ大統領になって、ロシアとアメリカの関係性が改善すれば、日本の重要性は下がります。要するに、日本とロシアの関係は、他国との関係性の中で相対的に変化するのです。」

ロシアと中国は親しい関係ではないが、国際政治は中ロ対G7という構図が成立しており、G7の一角である日本を自陣営に引き込むことにメリットがあるというわけだ。

ロシアはクリミア併合で、G7から制裁を受けており、これを早く解除したい狙いはあるが、解除と返還を天秤にかけたら返還の方が重い気がするが。

今回の首脳会談の1カ月ほど前のプーチン大統領の発言も返還する気はあまり感じられない(ハフィントンポスト)。

記者会見での発言で、「大統領は発言前、日本人からの質問と知ると、「島の質問か。面白くないな」と軽くいなし、「日本がたえず提起する領土問題は、われわれは存在しないとみなしているが、にもかかわらず、対話を拒否していない」と述べ、領土問題は存在しないとの認識を示した。また、「われわれは安倍首相の要請を受け、元島民の墓参要件を緩和するなど、信頼に必要な条件を作り出してきた。しかし、日本はわれわれに制裁を科している。シリアやクリミアはどこにあるのか。なぜ制裁を科したのか。それが信頼を高めることになるのか。それでも、われわれは対話を継続する用意があり、接触を避けていない」とクリミア併合後に日本が欧米に追随して発動した制裁を改めて批判した。」

ロシアは、近年、中国、ノルウェー、エストニアと領土画定の難題を決着してきて、残るは日本の北方領土だけで、プーチン大統領に問題を解決したい意思があるはずとの推測もあるが、果たしてどうだろうか。

[7-9月期GDP]再びマイナス成長

自然災害と中国経済の減速--7~9月期の国内総生産(GDP)がマイナスになった理由だ。14日(水)発表の速報値は実質GDPが前期比0.3%減(年率換算1.2%減)。

今年は1~3月期も0.2%減(年率0.6%減)とマイナスでスタートした。4~6月期に0.7%増(年率3.0%増)と大きく盛り返したのだが、
豪雨や台風が相次ぐ不運に見舞われ、個人消費が伸びなかった。輸出も大幅なマイナスとなった。関西国際空港の閉鎖も影響しているだろう。

実質GDPの成長率は市場予想の中心値(年率1.0%減)を超える減少幅で、15年10~12月期以来の大きさとなった。1%程度とされる経済の実力(潜在成長率)も大きく下回った(日経新聞)。

一過性の面があり、10~12月期は年率2.1%成長に戻るという。民間16社のエコノミストに対する日経新聞の調査だ。