【今週起きそうなこと(11月19日~)】ブレグジット合意案めぐり、英政治は緊迫続く

11月19日~ ※海外は現地時間
週内 サウジ記者殺害の詳細をトランプ大統領に報告(19日か20日)こちら
19(月)
20(火) 環太平洋連携協定(TPP)11首席交渉官会合(~21日、都内)
21(水) 経済協力開発機構(OECD)経済見通し発表
22(木) 10月の全国消費者物価指数▽11月の月例経済報告
23(金)
24(土)
25  (日) EU臨時首脳会議
(出所)時事通信、ジェトロ等
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[ブレグジット]

英国のEU(欧州連合)離脱が混迷を極め、メイ首相の退陣や解散・総選挙など緊迫した政治状況が今週も続く。13日に英国とEUが合意したブレグジット離脱案の下院通過は難しいとの見通しをBBCは伝えている。否決されれば、混乱の大きい合意なき離脱への道につながるだろう。

14日夜に英内閣は合意案を了承したが、EUとの交渉担当者であるドミニク・ラーブEU離脱担当相が辞任を発表、エスター・マクベイ雇用・年金相ら閣僚6人が辞任するなど、メイ首相の足下が崩れかけている。

合意案は12月にも議会で採決される見通しだが、BBCによると、可決するには「メイ首相は下院の過半数に当たる320票を集めなくてはならない。与党・保守党の議席は316議席と過半数に足りず、法案可決には閣外協力する北アイルランド民主統一党(DUP)の10議席が必要となる。しかしBBCの調査によると、DUPは今回、合意案を支持しないもようだ」。

「さらに離脱強硬派や、2度目の国民投票を求めているEU残留派など70人弱の保守党議員も合意案を支持しない構えで、メイ首相が確保できるのは約250票」と目標の320票にほど遠い数字とBBCは見る。

しかし、合意案がもし下院で否決されれば、来年3月29日の離脱までに残された時間は少なく、合意なき離脱となる可能性が高い。

そればかりか、「離脱派のジェイコブ・リース=モグ議員をはじめとする一部の保守党議員が、党にメイ首相に対する不信任を示す書簡を提出した。書簡が48通に達すると、不信任案の決議が行われる」。味方のはずの与党議員から不信任を突きつけられる厳しい事態になっている。

ただ、「反対派がこのまま不信任案まで突き進み、メイ首相の退陣に追い込み、最終的には議会の解散・総選挙まで持ち込む可能性は低いとの声もある。下院保守党議員315人のうち強硬派は40人超いるが、新たな離脱交渉も視野に首相候補に名乗りを上げる議員は皆無だからだ」(日経新聞)。

合意案は585㌻にも及ぶそうだが、離脱強硬派が反対する理由は、「英国が今後も関税同盟に残り続ける可能性がある点だ。「離脱して主権を取り戻すはずだったのにこれではEUルールに縛られ続ける」。選挙区向けに訴えてきたEU離脱の本質にかかわるだけに一歩も引けない事情がある」(同上)。

特に英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理が問題になっている。英・EUとも出入国・通関手続きを復活する気はなく自由な移動を維持することで一致している。このため、英国がEUの関税同盟に残り、双方が同意した場合のみ関税同盟から脱退できるようにした。

メイ首相は関税同盟から抜けると主張してきたが、その主張を翻したことになる。ラーブ離脱相が辞任したのも、この国境問題が理由で「アイルランドの国境問題で英国全体の尊厳を傷つける可能性がある。英国が無期限にEUとの関税同盟に残る案にも賛同できない」としている。

EUは25日に臨時の首脳会議を開き、合意案を承認すると、トゥスクEU大統領が表明しているが(ロイター)、英議会が採決する12月まで、メイ首相辞任や解散・総選挙が起きても不思議でない状況が続きそうだ。