サウジ記者殺害は皇太子の命令 CIAの結論で中東波乱  

沈静化してしまいそうに見えたサウジアラビア人記者殺害事件が大きな問題に発展する展開となってきた。

米中央情報局(CIA)が殺害をサウジのムハンマド皇太子の命令と断定したと米メディアが16日伝えたからだ。最初に報じたのは、ワシントン・ポストだったが、ウォールストリート・ジャーナル、CNNも追いかけた。

「政府関係者が16日に語ったところによると、情報機関は皇太子の関与について決定的な証拠はないが、サウジがどう動いたかをつかんでいる」とし、「事件はムハンマド皇太子の関与がなければ起こりえなかった」という(WSJ)。

ワシントンのサウジ大使館スポークスマンは「CIAの主張は誤り」とコメントしている。

トランプ政権は、これまで事件にかかわったとしてサウジ当局者17人を制裁対象にしているが皇太子は含まれていない。しかし、CIAが皇太子の関与を断定するならば、制裁からさらに進んでサウジとの関係見直しを求める声も出てくるだろう。

皇太子との関係維持を望んでいるだろうトランプ米大統領にとっては、困った展開だ。大統領は17日、カリフォルニア州で記者団に、「サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件に関する「詳細な報告書」を19日か20日にも受け取ることを明らかにした」。
また、「サウジのムハンマド皇太子の事件への関与について、「可能性はある」と指摘したが、「まだ判断していない」とも述べ、明言を避けた」(時事通信)という。「可能性はある」と答えているので、関与を認めざるを得ないときも想定しているようだ。

米国務省のナウアート報道官は17日の声明で「米政府の最終的な結論を下したという最新のレポートは適当ではない。カショギ氏の殺害についてはまだたくさんの疑問があり、国務省は引き続き適切な事実を探っていく」と述べ、事件への対応が現在進行中であることを明らかにした(前出WSJ)。

サウジの実権を握るムハンマド皇太子が、殺害の関与で失脚などすれば、対イラン勢力としてサウジと友好を保っていた米国の中東外交も変化するかもしれず、中東世界に大きな波紋を起こしそうだ。

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