【今週起きそうなこと(12月10日~)】英、2回目の国民投票など、「無秩序ブレグジット」回避を検討

12月10日~12月16日 ※海外は現地時間
週内
10(月) 臨時国会会期末
7~9月期のGDP改定値
11(火) 英議会、EU離脱合意案 こちら
10~12月期の法人企業景気予測調査
12(水) 10月の機械受注
11月の米消費者物価指数
13(木) 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(金融政策発表は午後1時45分)
EU首脳会議(ブリュッセル、14日まで)
韓国・光州地裁、三菱重工業の挺身隊員訴訟で3次判決
14(金) 12月の日銀短観(8時50分)
15(土)
16(日)
(出所)時事通信、ジェトロ等

[英議会、ブレグジット案採決]

10日の週の要注目は、11日(火)の英下院におけるEU離脱案の採決だ。否決されれば、「合意なき離脱」という最悪のシナリオへの第一歩が始まる。採決は英国時間11日19時なので(ロイター)、日本時間12日4時以降に結果がわかる。

採決の見通しは、メイ政権案の敗北がほぼ確実視されている。「下院の定数650のうち、採決に参加するのは議長などを除いた639。過半数には320票が必要だが与党は満票でも324票しか持っていない。多くの地元メディアは保守党内だけで反対が90~100票まで膨らんだと分析しており、10議席の閣外与党・民主統一党(DUP)も反対の構えだ」(日経新聞)。

メイ首相勝利の見通しもある

否決の見通しでほぼ一色の中で、笠原敏彦・元毎日新聞欧州総局長(長崎県立大学教授)は、メイ首相勝利の予想を展開している。メイ首相の戦術をこう推測する。

「説得不可能とみられる強硬離脱派約40人を除く大半の与党側議員から支持を取り付け、さらに労働党などから40人近い造反者を引き込み、ぎりぎり過半数を確保する」(現代ビジネス)。そして、この戦術は無謀ではないそうだ。

カギは、2016年6月のEU国民投票では、下院650の選挙区のうち、6割に相当する401選挙区が離脱支持だったという事実だ。

メイ首相は、そこを心得ており、こう訴え続けてきた。
離脱協定案に反対するならば、選択肢は二つしか残されていない。「合意なき離脱」で経済・社会が大混乱するか、残留派の盛り返しによって離脱できなくなるかだ。

議員たちが離脱を求める選挙区の声に耳を傾けるならば、結局、離脱協定案に賛成せざるを得ないという理屈だ。こう論を進める笠原教授は「筆者は、「メイ降ろし」の機運、危機が盛り上がっては消えていったこれまでの経緯を踏まえると、議会が1度目の投票で承認する可能性はあると見ている」と明言する。

最悪シナリオ回避策

とは言え、否決されても最悪シナリオをたどらないよう、英国もEUも対策を講じ始めている。英議会は、離脱最終合意に議会の権限を強化する案を4日に可決しており、その結果、「EUの単一市場への残留や離脱全面阻止の動きさえ含むよりソフトな離脱推進を議会が求める見込みが出てくる。今後数週間で勢いを増しそうな選択肢としては、EU離脱を巡る2回目の国民投票を実施し、最初の国民投票での選択を覆す機会を国民に与えることが考えられる」とブルームバーグは伝えている。

また、EUも、メイ首相が2回目の国民投票実施を示唆することを条件に、離脱期日の延期など、合意なき離脱を回避する案を検討している(ブルームバーグ)。

離脱強硬派の中には、ボリス・ジョンソン元外相のように、合意なき離脱で「大いなる国家的努力」が必要になるとしても、英国は自由になる瞬間を捉えるべきだと、合意なき離脱を辞さない議員もいる。しかし、「野党労働党の党首、コービン氏は「合意なき離脱は避ける」と明言しているように、議会には与野党を越えた最大公約数として無秩序離脱だけは回避するという暗黙のコンセンサスが存在しているように見える」(同上現代ビジネス)。

英議会は議会の総意であるルールに則った離脱を達成できるのだろうか。