米中貿易紛争 行方を占う2つの動き

米中対立の懸念が世界の株価を大きく下げているが、アルゼンチンにおける米中首脳会談で決まった90日間をリミットとする交渉はどうなるのだろうか。

首脳会談が開かれた12月1日のその日、中国通信機器大手、ファーウェイの孟晩舟副会長が米国の要請を受けたカナダ政府の手で逮捕された。トランプ大統領は、首脳会談時には逮捕の計画、あるいは事実を知らなかったとホワイトハウス高官は語っている(ロイター)が、なかなかありそうもない偶然だ。ちなみに逮捕のニュースが世界を驚かせたのは5日だ。

中国との90日間交渉の米側責任者である、ライトハイザーUSTR(通商代表部)代表も、ファーウェイ事件については「私が取り組んでいるさまざまな事柄とは全く別の話だ」「従って、われわれには無関係。これは刑事司法の問題だ」と、対中交渉と逮捕とをできるだけ関連させないようにしている(ウォールストリート・ジャーナル)。

しかし、一方でボルトン大統領補佐官は事前に逮捕を知っていたとラジオのインタビューに答えている(ロイター)。

真偽のほどがわからなければ、中国内では、米国からの攻撃と受け取る者が多いだろう。結果的に、この時期の副会長逮捕は中国国内に「ナショナリスト的な反発が生じ、習氏が米国に譲歩することがより困難になっている可能性がある」(ウォールストリート・ジャーナル同上)。

劉副首相の渡米交渉はいつ

今後の展開を見通すうえで、「当面は2つの試金石が存在する」と、同紙の記事は伝える。「1つ目は中国が米農産品、エネルギー製品を購入するとの約束を迅速に実施するかどうかという点」、「2つ目は習近平主席の経済交渉特使として劉鶴副首相がいかに迅速にワシントンでの高官レベル協議に向かうかだ」。

米中の交渉の行方を見通すうえで、参考になる2つの物差しだが、劉副首相の動きは遅れているようだ。孟氏逮捕が明らかになる前に、劉副首相は30人の貿易代表団を率いて12月10日からの週にワシントン入りを計画していたからだ。渡米の計画を伝えるニュースが流れてこないので、すでに事件の影響が出始めているのだろうか。

これまでの交渉では、中国が米国から大量の物品とサービスを輸入することで両国が合意しているという。中国は今後数週間以内に大豆と天然ガスの輸入について発表することを約束し、また、米国製自動車に対する関税引き下げを検討しているそうだ。

交渉の中で、最もやっかいなテーマは知的財産権保護の問題と見られている。ただ、中国は、米企業が技術を強制的に移転させられているとする米国の主張は否定しているが、知的財産保護の動きは自国の利益にも合致するとの姿勢らしい。

ラリー・クドロー国家経済会議(NEC)委員長は、首脳会談でこの問題に関し、中国政府から「極めて前向きで、明るい見通しの表明がいくつかあった」と指摘し、中国の政府機関約35機関と同国最高裁が「知的財産権の窃盗行為の問題に取り組むため、新たな法律制定の作業に入っている」とFOXニュースの番組の中で語った。悲観材料ばかりではないようだ。

孟氏逮捕の衝撃が冷めやらぬこの時期に、中国側にあるボールを習近平主席はどう返してくるか。この先1週間ぐらいの間に返ってくるだろうか。

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