【今週起きそうなこと(1月7日~)】ブレグジット審議再開

1月7日~13日 ※海外は現地時間
7(月) 英議会、ブレグジット審議を再開 採決は15日ごろ こちら
米中次官級通商協議(北京、8日まで)
国際観光旅客税(出国税)の徴収開始
8(火) 武田薬品工業によるシャイアーの買収手続き完了
米家電・IT見本市「CES」(ラスベガス、11日まで)
9(水) 安倍首相が英国、オランダ訪問(11日まで、調整中)
11月の毎月勤労統計調査速報
米連邦公開市場委員会(FOMC)18年12月18~19日議事要旨
10(木) 山梨県知事選告示(27日投開票)
韓国・文大統領会見  レーダー照射問題にも言及か(10時)
11(金) 12月の米消費者物価指数(CPI)
12(土)
13(日)
(出所)時事通信、ジェトロ等
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[英議会再開]

1月7日週は、英国議会のブレグジット審議が再開、来週15日ごろの採決に向けヤマ場を迎える。年末年始の休暇明けで、米中貿易・知財交渉がどこまで進展するのか、乱高下する世界の株価の方向性が定まるのか、といったイベントも気になるが、ブレグジットに絞ってまとめてみた。

英国議会は昨年12月20日に休会に入ったが、その後もEUとの離脱合意案の議会通過にまだメドが立っていないようだ。

合意案が反対される理由

メイ首相がEUとまとめた離脱合意案は、野党はもとより、与党・保守党からもノーを突き付けられ、昨年は党首不信任投票にまでかけられた。保守党内では、離脱強硬派の反対が強い。合意案が中途半端なEU離脱になるとの理由からだ。

具体的には、合意案に含まれている、北アイルランドのバックストップ条項が争点になっている。よくわかりにくい事情なのだが、BBCのQ&Aが解説してくれている。

ブレグジットは合意案が発効すれば2020年12月の移行期間までに英国とEUの間で自由貿易協定(FTA)などを締結し新たな経済関係に入る。

しかし、通商交渉に失敗するかもしれず、英国はEU関税同盟、単一市場からは離脱する。その場合、問題になるのが英領北アイルランドだ。地続きのアイルランド共和国はEU加盟なので、検問などの国境管理をやらねばならない。しかし、英国もEUもそれを避けることでは一致している。

北アイルランドでは宗派対立により紛争が長く続き3000人以上が犠牲になった過去があるからだ。「離脱で再び地域が不安定になる事態は避けたいというのが英・EUの本音だ」(日経新聞)。

どういう経過をたどって情勢が不安定になるかは、アイルランド事情に詳しい人に聞かないとわからないが、爆弾テロのニュースをしばしば聞いていたので、紛争につながりそうな種を摘んでおきたい気持ちはわかる。

そこで、バックアップ条項だが、昨年11月にまとまった合意案では、通商交渉に失敗した場合、
①北アイルランドはEU単一市場の一部ルールに従う(北アイルランドに入ってくる製品はEUの基準に見合っているか検査される)。
②一時的な単一関税区域が設けられるため、実質的には英国全体がEUの関税同盟に残ることになる。
③英国とEU双方が合意しなければバックストップからは脱却できない--とすることが定められた(同上BBC)。

合意案反対派は「英国が永続的にEUの規則に縛られる」と反対しているのだが、なるほど、③を見ると、その可能性もなきにしにはあらずだ。

昨年12月11日の採決を延期したメイ首相は、バックストップはあくまでも一時的なものだという保証をEU首脳から得ようと交渉している。ジェトロの新年現地報告では「進展はみられていない」という。
※EU首脳会議が「一時的な措置」とする共同声明を発表したという報道もある(ロイター)。

※採決の見通しについてはこちら→Kobaちゃんの硬派ニュース

ハードブレグジットを否定する見方

議会が否決しそうな状況は変わってないように見えるが、最終的には、メイ首相が「無秩序なハードブレグジットに進むわけがない」し、保守党が「政権を失うような愚かな選択はしない」との根拠から妥協が成立するとの見方も出ている(ウォールストリート・ジャーナルYAHOO!ニュース)。

確かに、バックストップも、通商交渉がうまくいけば無用の長物になるわけだし、「ハードブレグジットも辞さない」という強硬派でない限り、絶対に呑めない内容にも思えない。

「政治リスクコンサルティング会社のユーラシア・グループはハードブレグジットの確率が10%だと推測している」そうだ(同上ウォールストリート・ジャーナル)。

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