GAFAに「用無し」扱いされるインテル、NVIDIA 株価暴落の一因 半導体業界激変

世界ナンバーワンの半導体メーカーとして君臨し続けているインテルが「用無し」の烙印を押された。老舗半導体メーカーだけでなく躍進目覚ましい新興のNVIDIAも同じ運命をたどりつつある。納入先のアマゾンやテスラが自社で半導体を開発し始めたからだ。

一般メディアではあまり伝えられていないが、上記2社だけでなくアップルやグーグルも自社半導体の開発を進めており半導体業界に地殻変動をもたらす動きだろう。IT業界ではとうに話題になっており、Kobaちゃんは遅まきながら、本ブログとリンクしている在野のエコノミスト、室田泰弘さんの12月記のブログで知った。

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サーバー用のCPUを自社開発

まずアマゾンとインテルはどうなっているのか。

アマゾンは、書籍販売から始まったネット小売りの企業と世間では見られているが、実は収益の大半はクラウド事業を展開するAWS(Amazon Web Service)が稼ぎ出している。サーバーの貸し出しなどのビジネスだ。

このためAWSは世界中に数百万台のサーバーを有しているが、それらサーバーの頭脳部分にはインテルのCPU(中央演算処理装置)が使われている。しかし、汎用性のCPUであるため、効率性や速度など性能面で最適なものではなかった。

アマゾンは自社サーバーに特化したCPUを開発するためイスラエルのAnnapurna Labsを2015年に3.5億ドルで買収し、ついに自社プロセッサー「Graviton」を開発し昨年11月に発表した。すべてのサーバーをGravitonに切り替えていく方針であることも表明している(Gigazine)。インテルは利益の90%以上をサーバーやAI向け半導体で生み出しているのでインテルにとってはかなり影響が大きいはずだ。

Gravitonは、エネルギー効率に焦点をあてて設計されており、大量のサーバーを収容するデータセンターの電力コストを大幅に削減できるそうだ。ベースはソフトバンク傘下の英ARMだそうだ。

データセンタは莫大な熱量を発生させるから寒冷地に建設されるが、それでも冷却のための電力コストがかさむのが難点で、Gravitonを難題解決の切り札にしようというわけだ。

さらに、アマゾンはGravitonとは別に独自開発した機械学習向けチップ「Inferentia」も発表した。アマゾンのクラウドコンピューティング部門の最高技術責任者、ジェームズ・ハミルトン氏は、今後もAI(人工知能)などの専門タスクのための独自チップを開発し続けることを表明しているという(同上Gigazine)。

NVIDIA株、暴落の一因

続いてテスラとNVIDIA、グーグル、アップルの動き(以下は室田さんブログに拠る)。
テスラは、自動運転の効率化を図るために、”super kick-ass”という自社チップを開発している。同社はNVDIAのGPU(画像処理を得意とするプロセッサー)を使っているが、もっと速い処理を求めているためで、自社製チップの使用で、自動運転の性能は10倍になると言う。

NVIDIAは株価が昨年10月初め時点から今年初めには半分以上も下落した。下落の理由については、仮想通貨の下落でマイニングが低迷し、そこで使われるGPUの需要も落ち込んだことが指摘されているが、テスラだけでなく、GAFAのNVIDIA離れが暴落を招いた一因にもなっていそうだ(ITmedia)。

グーグル、アップルも

同様な動きはグーグルやアップルにもあり、グーグルは3世代にわたるAIチップの開発を経験済みで、いよいよCPU開発に乗り出すという。アップルもモバイル製品用の自社製チップ「A」シリーズを開発した。

アマゾンなどが自社開発した半導体は各社とも設計だけで製造は外注だろう。半導体ファウンドリで世界トップのTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)や2位の米グローバルファウンドリーズ(GLOBALFOUNDRIES)が請け負うのか。

GAFAやテスラのような最先端企業が半導体業界の命運を左右し始めた。

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