ブレグジットに反応しないNY株式市場 次の節目は4月10日

メイ英首相が提出したEU離脱案を下院が三たび否決した3月29日のNY株価は212.22ドル高の2万5928.68ドルと株高で取引を終えた。

ブレグジットよりも米中摩擦

米中通商交渉の進展を好感した株価上昇で、NY株式市場はブレグジット論議にはまったく目を向けてないようだ。もし、「合意なき離脱」になると、英国とEUの貿易にはWTO(世界貿易機関)の関税ルールが適用される。それは英経済に壊滅的な打撃を与えるとともに、EUにとってGDPは1.5%縮小し、雇用は0.7%(100万人)失われるとIMFは予測しているという(ニューズウィーク)。

世界景気の減速で市場の地合いが悪いこともあり、株価は相当の暴落に見舞われるだろう。それを期待している売り勢力もいるはずだ。しかし、大勢は「英国もEUも合意なき離脱は回避するはず」とタカをくくっているようだ。

対照的なのが欧州の反応だ。3度目の否決の後に、EUの欧州委員会は、「4月12日に合意なき離脱となるシナリオの可能性が高そうだ」との声明を出すなど英議会の動きを心配する声が各地であがった。

日経新聞は伝える。
「オーストリアのクルツ首相はツイッター上で、英国が今後2週間で打開案を示せなければ「ハードブレグジット」になるとけん制。ロイター通信によると、オランダのルッテ首相も「合意なき離脱のリスクはきわめて現実的だ」と記者団に強調した。マクロン仏大統領はEU側は合意なき離脱への備えをさらに加速させる必要があると呼び掛けた」

こうした悲観的な見通しも株式市場は当然知っているだろうに、翌週4月1日のNYの株価は329.74ドル高の2万6258.42ドルとさらに値幅を上げて終えている。欧州各国首脳のコメントは英国に決定を促すための単なる脅しにすぎないと受け止めているのか。

金融当局は混乱に備え準備

欧州の金融当局者は混乱への準備に備え始めている。フランス銀行(中央銀行)のビルロワドガロー総裁は2日ラジオ局、BFMビジネスに対し、「合意なき離脱のリスクが高まっていることを市場は織り込む必要がある」と警告した。

その上で、ECB(欧州中央銀行)には必要に応じて英国の銀行にユーロを融資する用意があり、イングランド銀行(英中央銀行)にも英ポンドを融資する用意があると述べた(ロイター)。

市場の混乱を抑える役割を持つ金融当局としては、こじれにこじれる英議会の有り様を見れば、当然の準備かも知れないが、果たして株式市場の判断が正しくて、ビルロワドガロー総裁の警戒が杞憂に終わるのか。

10日に臨時の欧州首脳会議

次の節目は、3度目の英下院否決を受けて臨時に召集される4月10日のEU首脳会議である。その前に、メイ首相は4月12日の離脱期日の延期を求める離脱計画を下院で可決させなければならない。5月23日から始まる欧州議会選挙に参加しなくて済むよう、5月22日までには離脱したい考えで、その日程に沿って延期日を決めるようだ(BBC)。

EU首脳会議がメイ首相の延期要求を蹴るとは思えないが、10日は要注目である。

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