5Gの国際標準を狙うファーウェイ 特許数世界ナンバーワン

前回ブログでは、5G実用化への通信大手による先陣争いについてまとめたが、国際的な5G商戦でしのぎを削るのは機器の売り手(ベンダー)同士の争いだ。そんな競争の場では、特許を握り、デファクト・スタンダード(事実上の国際標準)を手にする企業が覇者となるのは、パソコンウォーを制したウィンテル(マイクロソフト、インテル)、ネットウォーを制したグーグルとこれまでのICTの歴史を見ればわかる。

5Gの国際標準奪取に一番近いところにいるのは、いまのところ中国企業らしい。ウォールストリート・ジャーナルが3月初めに流した記事がその様子を伝えている(ダイヤモンドが転載)。

中でも、米国政府が狙い撃ちしているファーウェイが先行している。同社が保有する5Gの「標準必須」特許数は2月初旬の時点で一企業として最大で、1529件にのぼるという。中興通訊(ZTE)、国営の中国電信科学技術研究院(CATT)、広東欧珀移動通信(Oppo)が保有する特許を合わせると、中国勢が5Gに関する全標準必須特許のうちは36%を占めている。

あまり聞いたことのないOppoは、世界シェア4位のスマートフォンメーカで、昨年日本に進出した。その際の記者会見で日本法人の鄧宇辰社長は、「OPPOは5G通信技術で世界をリードする企業のひとつです。2020年にも始まる5Gネットワークの時代には大きな強みとなります」と5G技術を得意とする企業であることをアピールしている(デジタル・ラボハウス)。

ウォールストリートの記事によると、中国が保有する5G特許の中身は、端末の構成部品(Oppoのスマホもここに含まれるのだろう)、基地局、自動運転車の技術などあらゆる製品に関わる技術が含まれている。

製品禁止されてもロイヤルティーで稼げる

このため、ファーウェイ製品の使用を禁止されている国でも5Gネットワークを導入する際に、通信会社は技術の使用許諾を得るためにファーウェイに特許権使用料(ロイヤルティー)を支払わなければならないと専門家は見ている。

中国は明らかに国際標準を狙っている。というのは、中国企業は、5Gの仕様を策定する国際会議にスタッフを送り込んでは多くの案を出してきたからだ。特にファーウェイは顕著で、同社が提出した5Gの標準規格案は一企業としては最大の1万1423件にのぼり、米国企業の中で最も多くの案を出したクアルコムの2倍を超えたと記事は伝えている。

中国では、経済大国にのし上がった頃から、「三流企業は商品を作り、二流企業はブランドを作り、一流企業は標準を作る」という言葉が流行っていたが、ファーウェイなどは、まさに一流企業の地位を目指してビジネスを展開してきたに違いない。

ウォールストリートの記事は面白い推計もしている。ファーウェイが保有する5G特許がもたらすライセンス料だ。同社は、株式上場していないので、知的財産による収入は公開されていない。そこで、海外の同業他社のライセンス料を調べている。

ノキア(フィンランド)の場合、2017年に売上高の約7%に相当する16億5000万ユーロ(現在のレートで約2080億円)を稼ぎ出した。また、クアルコム(米国)は、世界の全てのスマートフォンに同社の特許が使用されているが、技術のライセンス契約で52億ドルを稼いでいるという。同社の売上高の5分の1以上に当たる。

ファーウェイは、競合他社と比べて2~3割安いと言われる価格競争力と、積極的な研究開発投資で得た技術力で、基地局の世界売上高トップを誇るが、それも米中貿易戦争のあおりで米国での5G商戦につまずいた、と指摘する記事もある(日経新聞=日経産業新聞)。「5G世界制覇」の夢を打ち砕かれたとの記事もある(ロイター)。

確かに、米国、オーストラリア、ニュージーランドの市場から締め出され、米国政府の要請を受けて日本政府も追随した結果、ソフトバンクは、ファーウェイなど中国企業の通信機器をノキア、エリクソン(スウェーデン)に順次、置き換えることを決めた。

しかし、ファーウェイアがこれまでに5G関連の技術と製品は世界トップ水準(だから米国に狙われたのだろうが)で、簡単にはへこたれそうもない。米中ハイテクウォーはまだ序盤戦と思っていた方がいいのではないか。

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