時価総額11兆円が見込まれるウーバー入門

米ライドシェア最大手のウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)が5月にもニューヨーク証券取引所に上場する。時価総額は1000億ドル(約11兆円)と見込まれている(ロイター)。

日本ならば、たちまち時価総額3位に

ユニコーン企業(時価総額10億ドル以上の非上場企業)への投資に投資家が慎重姿勢を強めていることから、当初期待されていた1200億ドルには届かないが(日経新聞)、11兆円の時価総額と言えば、東証でトップのトヨタ自動車(約22兆円)、ソフトバンクグループ(13兆円)に次ぎ、たちまち3位の座に躍り出る規模だ。現在3位のNTT(9兆円)を上回ることになる(日経新聞)。

ライドシェアサービスは日本には存在しないビジネスなので、なぜそれほどの企業価値を有するのかピンと来ない。最低限の知識として企業規模を確認しよう。

ウーバーの財務状況は、同社が11日に米証券取引委員会(SEC)に提出した上場申請書で初めて明らかになった。それによると(18㌻)、2018年12月期の業績は、売上高112億7000万ドル(1兆2600億円)で、2016年12月期の38億4500万ドルの3倍にのぼる。急成長を遂げていることがわかる。

軽く1兆円を超える売上高だが、日本企業では日本ハム、三越伊勢丹ホールディングスと同じぐらいの額で、東証1部企業のランキングでは128位になる(Stockclip)。

しかし、赤字も大きい。2018年は最終利益こそ9億9700万ドルの黒字だったが、これは東南アジア事業の売却など特殊要因があったためで、本業の稼ぎを示す営業利益(Loss from operations)は30億3300万ドル(3400億円)の損失を出している。

赤字体質からは抜け出せておらず、申請書にも、営業経費が「予見可能な将来にわたり大幅に増加」する見込みだとし、「黒字を実現できない可能性がある」と書かれている(ロイター)。

赤字を歯牙にもかけないのは米国の新興企業にありがちで、有名なのはアマゾン。投資を先行させ長きにわたり損益計算上の利益を出してこなかった。それでもアマゾンを支持する投資家は絶えないというのが米株式市場の面白いところだ。

筆頭株主ソフトバンクGの野望

上場申請書には現在の大株主についても記されており、筆頭株主は関連会社を通じて16.3%を出資するソフトバンクグループ(SBG)だ(日経新聞)。申請書を検索して見ると2億2222万8000株を保有している(259㌻)。

SBGの投資行動は米国の投資家にも関心が高いようで、ロイターが孫正義社長SBGの交通の世界への野望について長文の記事を先週末流した。

自動車産業は、これまでにない大きな変革期を迎えているが、孫氏は、「世界の3兆ドル規模の自動車産業を変革し、配車やカーシェアリング、配達ロボット、自動運転車まで、さまざまな交通サービスをスマホのアプリで利用できるようにしようとしている」という。

ウーバーへの投資はその一角で、自動車部門への投資は、このほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)の自動運転車部門「クルーズ」と、ライドサービスの滴滴出行(中国)、オラ(インド)、グラブ(シンガポール)に及んでいる。ウーバーも含めライドサービス4社では、すべて筆頭株主という徹底ぶりだ。
ライドサービスという日本ではなじみのないビジネス、しかもニューヨークでの出来事だから、ウーバーの上場は縁が遠いと言えば遠いのだが、大きく変貌する自動車産業史の一コマとして見直すと、見えてくる風景も違ってきそうだ。