米中貿易戦争 トランプシナリオ「6月末合意」へのヤマ場

対立が鮮明になった米中貿易戦争の結末はどうなるのか。両国とも協議を続ける意思は表明しているものの、次回閣僚級協議の時期は決まらないままだ。

トランプ大統領が描いているシナリオは、6月28~29日に大阪で開かれる20カ国・地域首脳会合(G20サミット)の場で、習近平国家主席と会談し、合意する--という道筋だろう。次回協議の日程もそのタイムリミットを意識しながら設定されるはずだ。それまでのヤマ場を整理しておこう。

6月1日 中国の追加関税発動

まず、6月1日に、中国が600億ドル相当の米国からの輸入品に対し追加関税を発動する。

これは、米国の対中制裁関税第3弾強化策(5月10日発動:2000億ドル相当の中国製品への関税率を10%から25%に引き上げ)に反発しての報復関税で、発表は13日だったが、発動を3週間近く先に設定した。

昨年9月24日に米国が制裁第3弾(関税率10%)を発動したときは、即日発動したのに比べ(ブルームバーグ)、余裕を持たせている。さらに米国製品を積んだ貨物船が6月1日に出発して中国に到着するまでに数週間かかるから、実際に課税される米国製品が中国に流れるのは6月末ごろになる。

発動が遅れているのは、単に事務作業が間に合わないだけなのか、それとも、対決色を弱めるための米国へのメッセージなのか。

6月末以降 米国の制裁第4弾発動されるか

次が、米国の制裁第4弾が発動される6月末以降だ。スマホなど約3000億ドル(約33兆円)分の中国輸入品に最大25%の関税を課すことは13日に公表されたが(日経新聞)、パブリックコメントや公聴会を経てからでないと発動できない。公聴会の日程は、以下のようになっている(ジェトロ)。
・6月10日  公聴会での証言申し込みと証言の要約提出期限
・6月17日  書面でのパブリックコメントの提出期限
・6月17日~ 公聴会(※複数日にわたって実施される可能性あり)
・公聴会最終日から7日後 証言の補足、または証言に対する反証の提出期限

こうした手順は着実に実施されていくだろうが、制裁第4弾を発動するかどうかについてトランプ大統領は、「決断していない」と含みを持たせており、協議が進展すれば発動を遅らせる、あるいは発動しない可能性もある(BBC)。

中国側は首脳会談にまだ同意してない

そして、大阪G20でのトランプ・習会談。トランプ大統領は、G20サミットで習主席と会談する可能性を示唆している。

中国外務省の耿爽報道官も14日の記者会見で、「両国の首脳は様々な手段を通じて連絡を取り続けている」と対話のパイプが途切れていないことを明かしたが、一方で、米中首脳会談については、「現時点では、この特定の質問に関する情報はない」と述べるに留まった(同上BBC)。

首脳会談が開催されるかどうかはいまだ不透明な状況だ。まず、12回目になる次回閣僚級協議開催のニュースが待たれるところだ。

衝撃的な中国のちゃぶ台返し

しかし、仮に協議が開催されても、日経新聞が伝えた、物別れの理由を読むと、果たして6月末までに合意の道筋が見えるのか疑問に思えてくる。中沢克二記者の手になるこの特ダネ記事(※)によると、中国側が、これまで積み上げてきた両国の合意文書案150ページを105ページにまで削ってしまったというのだ。しかも一方的にというから衝撃的だ。

やはり、ちゃぶ台返しはトランプ大統領ではなく中国側だったのだ(Kobaちゃんの硬派ニュース)。この深い溝を1カ月余りで乗り越えられるのだろうか。

※150㌻の合意文書案に中国が修正を加えたことは、すでに8日時点でロイターが報道していることに気付きました。150㌻を105㌻まで削ったことが日経の独自ネタでした。

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