ファーウェイ叩きは長続きするか 米IT企業へのダメージは?

アメリカのファーウェイ叩きは、ブーメランとなって米IT企業に返ってくる。何しろ、米商務省の措置で、世界最大の通信機器メーカーという優良顧客を一夜にして失ってしまったのだから。ファーウェイ叩きの持続可能性を考えるうえでも米企業への影響をまとめてみた。

まずファーウェイへの制裁内容を整理しておこう。米商務省の発表は5月15日。17日に発動された。制裁理由は、米国はイランも制裁しているが、ファーウェイがそのイランと金融取引に関わったと見るからだ。同社は、米輸出管理法に基づき、安全保障上懸念がある企業「エンティティー・リスト」に追加された(日経新聞)。

リストアップされた企業に対する米国製品・サービスの提供は事実上禁止される。米国の法律にもかかわらず、域外適用され、日本やEUの企業も同社への米国製品の販売が禁止される。

日本製品ならばファーウェイに売っても構わないのだが、そこに米国製の半導体やプログラムが組み込まれていればアウトである。違反が判明すれば罰金や米国企業との取引が禁止される。そもそも、米輸出管理法の域外適用には国際法上、異論もあるらしいが、域外企業は「リスクを冒すよりすべての取引を止めてしまおう」となるらしい。

米からは110億ドル調達

話を戻して、ファーウェイは、米企業からどれだけ調達しているのか。昨年の部品調達700億ドルのうち、米企業からの調達額は、「クアルコムやインテル、マイクロン・テクノロジーなど、110億ドル前後を占めた」(ロイター)。

110億ドルというと1兆2000億円ぐらいになる。大きな数字ではあるが、米産業界にとっては耐えられない数字でもなさそうだ。ただ、日本やEU経由のファーウェイ輸出もあるだろう。前述したように、その分の売上高も減る可能性が高い。さらに、個別に見ると対中比率が高い企業のダメージが大きいのだ。

クアルコムの対中依存率は67%

たとえば、クアルコム。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、クアルコムの売上高に占める中国の割合は67%にのぼる。この数字は中国市場がなくなれば破綻を意味する割合だ(インテルは26%、エヌビディアは24%、アップルは20%)。株式市場もすかさず反応して、16日のクアルコム株は4.4%下落した。

もちろん、肝心なのは67%のうちファーウェイがどれだけ占めるかである。同社は、クアルコムの高機能スマホのモデムや5G用の機器を使っているらしいが、WSJの記事にも67%のグラフが出てくるだけで、ファーウェイの割合までは書かれていない。

そこで、クアルコムの10-Kテンケー(有価証券報告書)に当たってみた。探してみると、2018年度(2017年10月~18年9月)の売上高227億3200万ドルのうち中国(香港を含む)は151億4900万ドルと出ている。66.6%の割合だ(F-41㌻)。それ以上の詳細はわからなかった。

前述のロイターの記事、「米企業で合わせて110億ドル」のうち、クアルコムは最大手だから、5分の1ぐらいは占めているとして20億ドル弱。同社の売上高の10%弱に相当する。10%減収というのは結構痛い。もちろん、「エイヤッ」の数字だからもっと多いかもしれないし、もっと少ないかもしれないのだが。

米中経済圏の勢力図にも影響か

中国の通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)も昨年、一時的に米政府の制裁対象となった。その影響で、経営危機に陥り、ZTEは、経営陣の総退陣、巨額の賠償金支払いなどで制裁を解除された。

しかし、ファーウェイは制裁に屈しない姿勢を明らかにしている。以前に書いたが(Kobaちゃんの硬派ニュース)、独立自尊の意識が高いファーウェイは習近平主席からも疎まれている存在。そんな環境の中で、米国との我慢比べがどう展開していくのか。世界のICTの未来図や米中経済圏の勢力図にも影響を及ぼしそうだ。

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