ネットメディアの世界で起きた小さなアクセス障害だが、直面したときは不思議な現象だったので、書き止めておくことにした。
7月1日(月)の午後、前日に開かれた米朝首脳会談に対する論評記事を探そうかとダイヤモンド・オンラインにアクセスした。ところが、「メンテナンス中」の画面が出て、つながらず。続いて、現代ビジネス、JBPress、東洋経済オンラインにアクセスしたが、これらはまったく接続できない。
雑誌オンラインばかりつながらないので、エコノミスト、日経ビジネスにアクセスすると、異常なく見ることができた。試しにロイター、日経新聞にアクセスするとこちらも異常なし。
これで、自宅のパソコンやネットワークに異常があるわけではないのでホッとする。いくつかの雑誌オンラインだけがアクセスできないというおかしな現象だったので、「たまたま同じサーバーを使っており、そのサーバーに異常が起きたのかな」と思った。でも、そろって同じサーバーを使うなんて、そんなことあるのだろうかと疑問も生じた。
理由がわからないまま、翌2日に前日接続できなかったダイヤモンド、JBpressにアクセスするとつながった。すると両サイトには、トップページに、1日にサイトにアクセスできなかったことに対するお詫びの文章が掲載されていた(図)。
ただ、アクセスできなかった理由については書かれていない。それでも、やはり何らかの障害が起きたのを確信できたので、ネット上にヒントになる情報がアップされていないかと探したら、ヒントどころかすぐに回答が見つかった。
東京新聞の共同電で疑問氷解
東京新聞が掲載した共同電がこう伝えていた。
「新聞やビジネス誌の関連ニュースサイトなどの構築を支援するIT企業「日本ビジネスプレス」で1日午後、システム障害が発生し、週刊文春など、40以上のサイトが一時閲覧できなくなった」
この記事で疑問が氷解した。日本ビジネスプレスのサイトに飛んで見ると、同社はJBpressと同じグループの会社。同社はWEBメディア向けに特化した「サイト構築・運用支援システム」を開発し、提供している。サイトには、同社のシステムを採用しているメディア名がズラリと並ぶ。
ダイヤモンド、東洋経済、プレジデント、現代ビジネス、WEDGE、文春、フォーサイトといった雑誌から、AFP、沖縄タイムス、福井新聞、佐賀新聞、下野新聞、東奥日報など通信・新聞社も多数、名を連ねている。
日本ビジネスプレスのサーバーがダウンするとこれらの社のサイトも開けなくなるわけだ。「そんなことあるのだろうか」と思ったが、あったのである。
同社サーバー利用のメディアすべてを合わせると、「その月間総ページビューは約6億8000万、延べユニークユーザー数は約1億4200万」という。月間1億4200万だから日割りにすると470万。サーバーがダウンしたのは、一番アクセスの多いだろう日中数時間だから、大雑把な推計だが100万人前後がアクセスできなかったのではないか。