【2019年の世界経済】 自動車と半導体の不振でリーマン以来のさえない1年

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今年(2019年)の世界経済は、不況感こそ漂わないがさえない1年で終わりそうだ。けん引役である自動車(新車販売)、半導体がリーマン・ショック後の2009年よりも落ち込みが大きかった。しかし、2020年は持ち直す。と言っても、GDP1、2位の米中経済の成長鈍化でV字回復は望めない。10月時点でのIMF(国際通貨基金)の見立てだ。

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新車販売 3年連続のマイナス予想

19年の世界の新車(乗用車)販売台数は18年より5%減り、8010万台に落ち込む(独自動車工業会=VDA)。減少幅は、リーマン・ショック後の09年を上回るという(日経新聞

20年も落ち込みは止まらず、19年比で1%減の7890万台と予測している。18年から3年連続の前年割れという見通しだ。

落ち込みの主因は中国市場にある。18年に、前年比2.8%減の2808万台と実に28年ぶりに前年実績を割り込んだが、今年に入ってさらに悪化した。VDAは、19年の中国市場を前年比10%減、20年は19年見込み比で2%減と予測している。

米中貿易戦争の長期化による景気減速や電気自動車(EV)の補助金が6月から大幅減額されたことが響いているという。

ちょっと本題から外れるが、面白いのは、全体では大きく落ち込んでいるにもかかわらず、「ホンダとトヨタは2桁の伸びを続けており、6月には日産や三菱自動車が前年同月を上回るなど、日系各社は総じてプラスを維持している」ことだ(ジェトロ)。

その理由について、ジェトロが現地でヒアリングしたところ、
①小型車減税措置の終了などにより「買える人だけが買う市場」に戻ったこと
②複数の日系メーカーが生産規模と販売(ディーラー)ネットワークを拡大したこと
③中古車市場の拡大により日本車のリセールバリューを評価する消費者が増えていること--の3点が挙げられた。

③については、故障が少ない日本車は中古市場でも高く売れる。折しも中国で、中古車市場が拡大中。何しろ、中古車も合わせた自動車市場全体では、18年は前年比1.5%増と減るどころか増えているのだ(日経ビジネス)。

半導体は2020年に回復

話を戻して、次に半導体を見ると、こちらもリーマン・ショック後を上回る落ち込み急落だった。19年は前年比12.8%減の4089億8800万ドル程度に終わりそうだ(EETimes)。

12%台の減少率は、「リーマン・ショック後の09年(9%減)を上回る。IT(情報技術)バブルが崩壊した01年に32%減って以来の水準だ」(日経新聞)。

世界の半導体市場規模は、2018年に4687億ドル(1ドル=110円換算で51兆5500億円)に達した。09年(2263億ドル)の倍以上と、急速な伸びてきた。

この間、日本の電機産業は完全に出遅れたが、クラウド事業が
花開くとともに、データを保管するストレージがハードディスクから半導体へと更新した時期だ。アマゾンがクラウド事業を大きく伸ばし、収益の柱に育てた時期でもある。

そのおかげで、17~18年は高く成長した。しかし、18年後半には息切れ、需要に陰りが出てきた。米中貿易摩擦などで世界経済の先行き不透明感がでてきたことやスマホの低迷なども影響した。

ただ、新車販売と違い、半導体の落ち込みは19年が底で、20年は勢いは弱いが回復軌道に戻る。世界の半導体メーカーが加盟するWSTSが12月3日に発表した市場予測によると、20年は、5Gの本格的な普及やデータセンターへの投資の回復、次世代ゲーム機の登場といった要素から、19年比で5.9%増の4330億2700万ドルと予測している(同上EETimes)。

2020年は1980年以来の平均成長率3.4%に回復

こうした製造業の不振から、IMFなど国際機関は、見通しの下方修正を繰り返してきた。IMFの最新の見通し(10月15日発表)は「世界の経済成長率は3.0%とリーマン・ショックが起きた2008年(3.0%)、翌2009年(マイナス0.1%)以来の低水準に終わる」と見ている。20年は、やや持ち直して3.4%を予測している(ジェトロ)。
「3.4%」とは、1980年以来の平均に近い水準だそうだ。ただ、世界のGDPについて、コンマ%の数字を示されてもピンとこないので、実額で感触をつかんでみよう。2018年の世界の名目GDPは85兆8044億ドル(外務省主要経済指標2ページ)。0.1%の違いは実額で850億ドル(9兆3500億円、ドル110円換算)に相当する(成長率は実質で、実額は名目なので、大雑把な感覚だが)。

IMFの見通しによると、20年の回復を後押しするのは、先進国経済ではなく、中南米の新興市場国、中東、また、欧州の新興市場国や発展途上国の国々だという。米国、中国は成長鈍化が予測されている。新興国、途上国は先行き不透明なところもあり、「世界の経済活動のペ ースが予想よりずっと精彩を欠く結果に終わることも十分ありえる」と慎重な見方だ。

見通し発表後の12月13日に、米中が通商交渉の第1段階で合意し、予定されていた双方の追加関税が見送られたりしたので、多少、上向き材料は加わった。ただ、製造業の不振を回復するほどの材料にはみえない。IMFが1月に出す改訂見通しに影響を与えるほどではなさそうだ。

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