2019年日本経済を数字で振り返る 内需が支えた1年

2019年の日本経済を大まかにひと言で表現すると、「雇用が好調なお陰で内需が支えた1年」といったところだろうか。主な経済指標を振り返ってみよう。

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日経平均株価は20%上昇

株式市場を見ると、日経平均は下表の通り、19年初の1月4日から4094.66円上げた23656.62円で30日の大納会を終えた。3500円近く下げた2018年に比べ株高の年だった。

<株価> 年初 年末 騰落率(%)
日経平均(円) 19561.96(1月4日) 23656.62(12月30日) 20.9
NYダウ(ドル) 23346.24(1月2日) 28538.44(12月31日) 22.2
上海総合(ポイント) 2465.29(1月2日)  3050.12 (12月31日) 23.7
<為替>
1ドル=円 108円47銭(1月4日) 109円17銭(12月30日)

後述するように企業業績は落ち込んだにもかかわらず、株価は20%を超える好成績で、大納会としては1990年以来、29年ぶりの高値を付けた。

このちぐはぐな現象の背景を「2019年は世界的な利下げを追い風に緩和マネーがあらゆる資産の価格を押し上げた」と日経新聞は解説している。
米中貿易摩擦も交渉が進むと上昇、停滞すると下落と株価を左右した。

上海総合は、2018年は米中貿易摩擦の影響で22.5%と大幅に下落したが、19年は23.7%と大きく伸び、3000ポイント台を確保した。

為替は、104円~114円の幅で推移した。

改元連休で消費盛り上がり

景気の全体指標となる実質GDP成長率は、9月までの四半期はプラス成長が続き、伸び率も比較的まずまずだった。そのまま進んでくれればよかったが、10~12月期は、3.57%減と大幅な減速が予想されている。個人消費や設備投資、輸出入がそろって下振れする(日本経済研究センターが12月17日公表した民間エコノミストによる経済見通し「ESPフォーキャスト」の予測平均)。

1~3月期 4~6月期 7~9月期
GDP成長率(実質、年率) 2.6 2.0 1.8
GDP成長率(名目、年率) 3.4 2.2 2.4
消費者物価指数(総合、%) 0.2(1月) 0.5(11月)

2019年を振り返ると、1~3月期は前期比2.6%と高めにスタート。その後、伸び率は2.0%→1.8%と鈍化したが、2018年(▼1.3%→2.8%→▼2.5%)と比較すると順調に推移してきた。

9月まで順調だったのは、内需が底堅かったからだ。それが顕著に現れたのは4~6月期で、令和への改元に伴う10連休で個人消費が伸びた。3四半期連続のプラスで前期比0.6%増だった。旅行などレジャー関連の消費が盛り上がったほか、自動車販売も新型車の発売が相次ぎ好調だった。こうした消費の勢いは、エコミストたちも見通すことができず、4~6月期の2.0%増という実績は、予測値0.4%増(中心値)を大きく上回った(日経新聞)。

順調な内需に比べ、外需は年を通して米中貿易摩擦や英国のEU離脱をめぐる混乱などで世界経済が減速したあおりで輸出産業が影響を受けた。

2%の物価安定目標は今年も達成できなかった。4月の前年比0.9%が一番高かった。

賃金上がらず

失業率(%)  2.5(1月)  2.2(11月)
現金給与総額(名目、%) ▲0.6(1月) 0.0(10月)
現金給与総額(実質、%) ▲0.7(1月) ▲0.4(10月)

雇用は2018年に続き好調を持続している。2%台前半で推移し、若干改善しているほどだ。11月は2.2%だった。賃金が上昇しても不思議ではないのに、表に示す通り、名目、実質とも下落している。雇用側としても、パートやアルバイトなど非正規社員ならば雇いやすい状況にあると言えそうだ。

その証拠に景気に一致指標の有効求人倍率を見ると、1.57(11月)と高止まりしている。雇用意欲は高いのだ。2020年は失業率が2%割れする月が出てくるかもしれない。

芳しくない企業業績

1~3月期 4~6月期 7~9月期
企業経常利益(前年同期比、%) 10.3 ▼12.0 ▼5.3
現金・預金=億円(前年同期比、%) 2037643(0.8) 2015305(▼0.2) 2021032(▼0.0)

企業業績はあまり芳しくなかった。法人企業統計(財務省)で経常利益の推移を見ると、1~3月期は前年同期比10.3%増と二ケタ増益だったが、4~6月期12.0%減、7~9月期5.3%減と、2期連続で減益に落ち込んだ。

保有する現預金は200兆円をちょっと超えている。「企業の貯めすぎ」が批判されて久しいが、相変わらず高水準だ。2019年は企業業績がぱっとしなかったのでさすがに増えはしなかったが、減りもしなかった。GDP統計上の雇用者報酬(名目)は2019年も増えたが、企業の現預金の数字を見る限りは、人件費に回った様子はうかがえない。

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