「子供はコロナ感染するが重症化しない」の研究結果は「休校推奨」

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定説覆す調査結果

「新型コロナウイルスに子供はほとんど感染しないし、感染しても重症化しない」と、感染拡大初期から医師たちは言い続けてきた。しかし、米ジョンズ・ホプキンス大などが、その定説を覆す調査結果を明らかにした。産経新聞が3月8日夕に流した。

 産経の記事が「新型コロナ「子供も感染しやすい」 米中のチーム」という見出しだったので、「大丈夫と安心していた子供まで病魔に襲われるのか」と暗い気持ちになった。

 しかし、記事をよく読むと、調査したジョンズ・ホプキンズ大のジャスティン・レスラー准教授が、「子供は重症化しにくいだけなのかもしれない」と発言しているので、全面的にBad Newsではないようだ。定説の前段部は覆されたが、後段部に変化はない。

無症状の子供が感染拡大に拍車

 先進的な米雑誌「Wired」が詳しく書いていたので記事を読むと(Google翻訳さんありがとう)、産経が触れていない公衆衛生上、この調査がもたらす意味合いを強調している。

「調査は、公衆衛生上の介入には明確な意味合いがあることを示している。子供たちは、感染拡大に拍車をかける役割を果たしうる。症状が軽いので、感染が分からないからだ」と記事は指摘している。

 つまり、感染したが無症状の子供が感染を拡大させてしまうことに注意を促す調査だったということだ。レスラー准教授は、そのことを、もっと具体的に語っている。

「子供たちが感染していないと思ったら、学校閉鎖は、過度の苦労をもたらすかもしれない」
「しかし、調査データは、学校を閉鎖することが、今後の感染を防ぐためには重要であることを示唆している」

休校措置の効果に期待

 もし、この調査結果が有効ならば、専門家の意見を聞かずに決め、社会に混乱を招いた安倍首相の全国の小中高に対する休校要請は的を射ていたことになる。

 まさか首相がこの調査を知っていたわけではないだろう。記者からの質問を打ち切って、早々に自宅に帰ってしまった2月29日の会見は、当方もテレビで見たが、休校要請の明確な理由について、なるほどと納得できる説明はなかったのだから。

 今後、感染者数が目立って減っていくならば、ひょっとしたら休校の効果が出たのかもしれない。新型コロナに対する安倍政権の対応はモタモタ感ありありだった。休校措置は、国民の批判を感じ取っている首相がリーダーシップを際立たせようと独断で踏み切ったものかも知れない。動機はほめられたものではない。ただ、レスラー准教授が言うように休校で感染拡大が鈍化するなら、それに期待したい。

濃厚接触者1300人を丹念に追跡調査

 先に結論を書き急ぐ形になって、肝心の調査内容が後回しになってしまったが、Wiredの記事から調査の概要と子供がなぜ重症化しないかについて紹介しよう。

 調査は、1月8日から深センCVC(疾病予防コントロールセンター)が、新型コロナの発生地である湖北省からの旅行者をチェックしたことに始まる。深センCVCは、391人のCovid-19患者と、患者に濃厚接触した1286人を特定し、追跡した。

 調査は、症状を一度も訴えない人も感染の有無を定期的にチェックした。その間、中国で働いているジョンズ・ホプキンス大の卒業生が仲介役となって、レスラー准教授らが調査に加わったという。

 その結果、ウイルスにさらされた9歳以下の子供は、他の年齢層と同じくらいの確率で、7〜8%に感染する可能性があることを発見した。しかし、年齢の高いグループで見られるような重度の症状はほとんどなかった。多くの子供はまったく症状を示さなかったそうだ。

 産経の記事は、他の世代の感染率に言及しており、「接触者(1286人)のうち、感染した人の割合を感染率として算出すると、全体では8%程度だったのに対し、9歳以下は7・4%、10代は7・1%と大差なかった」という。

 子供が重症化しない理由についてもWiredは書いている。
アイオワ大学のマウスを使った研究で、動物は老化するにつれ肺が汚れるため、コロナウイルスに感染しやすくなることがわかったという。汚染されていない子供の肺はかかりにくいという傍証のひとつだが、本当の理由はまだわからないらしい。

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