新型コロナ 「イタリア医療崩壊」の現場報告記事を読む

スポンサーリンク

新型コロナウイルス国立感染症研究所

「日本はイタリア化するのだろうか」。東京都や大阪府で、新型コロナウイルス感染者が大きく増えつつある現実に直面し、その先には、イタリアのように医療崩壊し、治療を受けたくても受けられない悲惨なシーンが待っているのだろうかとの不安がもたげる。

 感染爆発すると、どうなるのか改めて確認しようと、ウォールストリート・ジャーナルとロイターの記者の現場からの報告記事を読んでみた。10日以上前の記事なので、読んだ人もいるだろうが、ちょっとまとめてみた。イタリアの人たちには申し訳ないが、「こんな風になりたくない」。

スポンサーリンク

文字通りの医療崩壊 医師50人死亡

 新型コロナウイルス感染症が爆発的に拡大しているイタリアでは、3月28日に死者数がついに1万人を突破した。感染の発生地・中国の死者が約3300人だから、イタリアのひどさがわかる。27日には919人が亡くなった。医師の死者数50人という数字に事態の深刻さが表れている(NHK)。

 中国では情報統制で武漢の悲惨な状況は、ほとんど外部に伝えられなかったが、イタリアの様子は海外メディアが報告している。それらの記事を読むと、生きる可能性が高い患者を優先的に治療するよう選別せざるをえない過酷な現場が眼前に迫ってくる。心が壊れていく医師の言葉も伝えている。

 ウォールストリート・ジャーナルは3月19日に、イタリア北部の町、ベルガモ発の記事を流している(ベルガモは下の地図の赤印)。

 イタリアでは、死者の約3分の2は、北部ロンバルディア州に集中している。ベルガモは、アルプスの麓に位置する同州中部の人口約12万人の都市。歴史の古い町らしい。

 北部の代表的な都市といえば、人口130万人のミラノだが、WSJの記者がミラノではなくベルガモに入ったのは、「ベルガモは、収拾がつかなくなったイタリアの感染拡大を象徴している」というのがひとつの理由のようだ。

最高水準の病院さえも手に余る

 記者が取材したのは、ベルガモの医療を支えてきた聖ヨハネ病院。2012年に開設され、950床を備えた国内で最も先進的な病院の1つだった。

 緊急通報番号の112番にかけると15~20秒で応答し、病院には救急車が200台以上あって60~90秒以内に出動する。ヘリコプターも2機、常駐しているそうだ。緊急患者は、通常であれば30分以内に手術室に到着するという。これほど心強い医療水準の病院は、日本でも数少ないだろう。

 その最高水準の病院が、いま、通常は使用されていない病院内の区域で、重篤な患者の病床から出る「シュー」という酸素音であふれている。患者は不安げな、あるいは疲れた表情で静かに横たわっている。

ICUに入れる患者を選別

 同病院の麻酔科医、ピエトロ・ブラムビラスカ氏は、「一部の人は集中治療で人工呼吸器を装着する必要があっただろう」と十分な治療が実施できていないことを認める。感染の拡大を防ぐため、もっと適切に隔離されるべきだとも同氏は言う。緊急医療で最高水準のレベルを誇り、950の病床を持つ病院でさえ最善の医療を提供できなくなってしまった。

 人工呼吸器は足りず、必要な患者に行き渡っていない。同病院の医師によると、集中治療室(ICU)では70歳以上の患者はほぼ受け入れていない。回復する見込みの薄い患者より、治癒する可能性の高い患者を優先しているのだ。

 集中治療の専門家で、「国境なき医師団」のメンバーでもあるミルコ・ナコティ麻酔科医は「3週間前までは全ての患者にあらゆる手を尽くしていたが、今は誰をICUに入れるかを選ばなくてはならない。悲惨だ」と話す。

「患者に嘘をつく自分が壊れていく」

 ロイターは、3月18日にポリクリニコ・サン・ドナト病院の様子を伝える。やはりイタリア北部の病院のようだ。

 病院では、ベッドに空きが出るたびに、麻酔専門医2人が蘇生専門家・内科医と協議のうえ、次に誰を入れるかを決定する。

 患者を決める重要な基準は、年齢と基礎疾患だ。家族がいるかどうかも大きい。「高齢の患者の場合、ICUから出た後、面倒を見てくれる家族がいるかどうかを考慮する。支援が必要だからだ」と同病院のマルコ・レスタICU副室長は語る。

 レスタ氏によれば、たとえ回復の見込みがない場合でも「患者に向かって『大丈夫ですよ』と言わなければならない。そういう嘘をついていると自分が壊れていく」

 ICUの”救命力”も落ちている。イタリアの病院のICUが受け入れた新型コロナ患者のうち50%が死亡している。通常は、12~16%だそうだ。

 病院の一時的な閉鎖も起きている。ロンバルディア州のすぐ外側に位置する都市フィデンツァ(Fidenza)では13日、地元病院を19時間にわたって閉鎖した。一部の人々が「自宅で死亡する」ことも意味する(アンドレア・マッサーリ市長)措置だったが、病院スタッフらは21日間休みなしで働いており、病院の機能を維持するためやむを得なかったようだ。

3月初めは感染者数1128人だった

 イタリアは、3月1日には感染者数1128人、死者29人だった。それが1カ月のうちに手が付けられない状態になった。若者の失業が深刻なため、「政治家たちが感染拡大の危険性に目をつむり、普段通りの経済活動を続行する道を選んだようだ」(現代ビジネス、小林雅一氏)。その結果、初動で強力な封じ込めに後れを取ったことが原因として指摘されている。

 また、死亡率が高いのは、社会の高齢化のためと専門家は指摘する。イタリアは、2015年の国連の報告書によると、人口の28.6%は60歳以上で(33%の日本に次いで世界で2番目に高い割合)、新型コロナウイルスによる死者もその9割が70歳以上という(CNN)。

 嫌な感じで増え続ける日本の大都市のコロナ感染者数。4月の終わりには、感染爆発に発展するのか落ち着くのか嫌でも答えが出ているわけで、日々の推移を見守る日々が当分続きそうだ。

本サイトのコロナウイルス関連記事は、こちらに11本あります(3月30日)。

スポンサーリンク

シェアする

フォローする