新型コロナ 経済活動を蘇らせる「抗体検査」 欧米は着々準備

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ニューヨークの街並み

「あなたは、新型コロナウイルスの免疫を持っています」とお墨付きを与えてくれる、いわば「免疫証明書」の発行がドイツで計画されているらしい。

 証明書は「抗体検査」で、陽性、つまり新型コロナウイルスの抗体保持者に与えられる。もし抗体検査が広く普及すれば、経済、社会活動は蘇るだろう。たとえ、欧米のように都市封鎖(ロックダウン)しても、抗体保持者は仕事を続けられる。働いている人たちから感染が拡大する心配もない。経済へのダメージはかなり低減できるだろう。感染爆発防止には必要な封鎖だが、実施すれば、経済を痛めつけてしまう、という二律背反を解決してくれる。

 イギリスのジョンソン首相は、抗体検査を「ゲームチェンジャー」と呼んでいる。新型コロナに対する対策を抜本的に変えるかもしれないという意味だろう(「新型コロナウイルスに対する抗体検査への期待」RIETI上席研究員、関沢洋一氏)。

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免疫の有無が少量の血液で15分で判明

 免疫の有無を確かめるのは、指先から採取した少量の血液を検査キットにたらすだけでいい。現在、感染の有無を診断する主役となっているPCR検査は、鼻や喉を綿棒でぬぐって検体を採取するので、看護師に感染する恐れがあるが、その心配がない。

 結果が出るのも、PCR検査は、検体を検査機関に持っていき、遺伝子を調べるので早くても1日待たねばならないのに対し、抗体検査は、その場で、10~15分で判明する。

 抗体が検出されるということはもちろん、過去に新型コロナウイルスに感染したことを意味する。新型コロナは、PCR検査で陽性の結果が出ても無症状の人が多いというから、知らないうちに感染している人は結構多いのかもしれない。

米国でも期待が高まる

 感染爆発を起こし、都市封鎖中のニューヨーク市にあるマウント・サイナイ・アイカーン医科大学教授、フロリアン・クラマー氏(ワクチン学)は、「最終的には、こうした抗体検査が、誰がこの国を正常な状態に戻せるのかを突き止めるのに貢献するかもしれない」と語る。「いち早く通常の生活に戻り、すべてを再スタートさせられるのは、免疫を持った人だろう」と抗体検査に光を見出している(ロイター)。

 冒頭に書いたドイツの免疫証明書は、シュピーゲル(Der Spiegel)誌が3月27日に報じたものだ。

 ドイツ北部にあるブラウンシュバイクのヘルムホルツ感染症研究センターの研究者らが、今後数週間で数十万件の抗体検査を実施することを計画。プロジェクトが承認されれば、研究者たちは4月初めから10万人を対象に試験を行なうという。

 プロジェクトを率いる疫学者のゲラルド・クラウス(Gerard Krause)氏は、免疫のある人は「予防接種済みカードのようなもの」を与えられ、「行動制限」を免除されるという(ビジネス・インサイダー)。

 米国では、カリフォルニア州のバイオメリカや韓国の検査機器メーカー、スゲンテックなど、いくつかの民間企業が抗体検査キットを米国外で販売している。

 価格も容易に手が届く水準だ。バイオメリカによれば、同社の検査キットの販売価格は10ドル以下で、すでに欧州・中東から発注を受けているという(前出ロイター)。

英国では、350万キット購入

 

 英国では、すでに350万キットを購入済みで、さらに在庫を積み上げるという。アマゾンやブーツという大手薬局を通じた販売になると、イギリス在住の免疫学者・医師の小野昌弘氏は、現地の報道を伝えている(YAHOO!ニュース)。

 日本では、抗体検査は、新聞やテレビであまり見かけないが、クラボウ、塩野義がひっそりと手がけている。抗体保持者を探すというよりも、感染の確認に重点が置かれているように見える。

 クラボウは、販売を始めており、価格は、10テストで25000円と記されている(同社HP)。

クリアすべき点

 いいことづくめだが、課題もある。ひとつは、免疫の持続期間が不明なことだ。数カ月とか1年とかの数字があがっているが、はっきりしたことはわからないらしい。

 もうひとつは、抗体検査の精度がよくわからないことだ。PCR検査より精度が低いとの見方もある。ちなみに、先のクラボウは、中国で約1000の臨床試験を実施しており、検査制度の高さが確認されているという(同社HP)。

 350万キットを購入したという英国も、適合性確認中で、ヘレン・ワッテリー保健担当閣外相は、「利用可能になる時期を確信をもって言うことはできない」と述べており、拙速にならないよう慎重な姿勢だ(ニューズウィーク)。

 欧米で期待が高まっている「抗体検査」。人の姿が街から消えたパリの映像などを見ると、期待がかなってくれればと願う。日本では、抗体検査にまだあまり関心がなさそうだ。でも、日本も緊急事態宣言発出の瀬戸際にあり、もっとスポットライトを当ててもいいように思うけれど、目先の対応に精一杯で、そんな余裕はないかな。

本サイトのコロナウイルス関連記事は、こちらに12本あります(4月1日)。

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