「世界経済の回復は中国頼み」の現実から見えてくること

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オーストラリアワイン  AC

目次
中国急増、米欧大幅減
米企業も「明るい材料は中国」
日本の貿易回復をけん引する中国
豪中は最悪の関係に一変
脱中国依存

 コロナ禍でダメージを受けた世界経済の回復は中国頼みの様相だ。そもそも世界がパンデミックに襲われたのは、中国の初期対応のせいではないかという疑いと、香港などへの強権的な行動を見ていると、中国頼みの現状は歓迎する気持ちになれないが、事実は知っておこうとまとめた。

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中国急増、米欧大幅減

 中国市場復活が顕著なのは自動車だ。ドイツの自動車メーカーBMWが10月7日に発表した販売データが象徴的だ。BMWの第2四半期自動車販売台数は、中国で前年同期比17%増の21万2617台と急増ぶりだったが、米国、欧州での販売台数はそれぞれ40%減、46%減と大幅減だった(ウォールストリート・ジャーナル。以下の記述も同紙)。

 米調査会社LMCオートモーティブは、今年の主要市場での新車販売台数を中国が11%減の2280万台、米国が22%減の1330万台、欧州が24%減の1570万台と予想している。

 とくに欧州は、人口の高齢化、自動車の所有率の高さやコロナで先行きが見えない時期に高額商品を購入したがらない傾向にあるなどの条件が重なり、新車販売台数がコロナ感染拡大前の水準に戻るには何年もかかる恐れがあるとの指摘が出ている。

 このため、欧州市場からの利益に依存しているメーカーは、業績回復に遅れ、中国、米国での事業が好調なライバルに差を付けられることになりそうだ。個々の企業が今回の荒波にどれくらいの期間耐えられるか知らないが、業界再編を促しそうだとの想像はできる。

 別のウォールストリート・ジャーナルの記事は、中国頼みが自動車業界だけではないことを伝えている。

米企業も「明るい材料は中国」

「米国内市場が落ち込んだ4~6月期には、多くの米企業が中国の消費回復に救われる格好となり、頼みの綱としての存在感を増した」「決算を受けた電話会見では、米主要ブランドの幹部から中国市場だけが明るい材料だったとの発言が相次いだ」。

 たとえば、靴メーカーの米スケッチャーズは、4~6月の総売上高は前年同期比42%減となったものの、中国が11.5%増となり、重要な下支えとなった。

 とりわけ、高級ブランド品の急増ぶりが顕著で、世界最大のラグジュアリー企業、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの4~6月期は38%の減収となったものの、中国売上高は65%増だった。渡航制限の影響で、中国消費者による高級品の爆買いの舞台が国内に移ったようだ。

 イタリア高級ブランド「グッチ」を傘下に持つ仏ケリングも、全体では43%の減収となる一方で、中国事業はおよそ4割増収だった。
ほかにも、EV(電気自動車)のテスラや日本のトヨタ自動車も中国での販売が好調だ。

日本の貿易回復をけん引する中国

 トヨタの名前が出たが、日本企業も米欧企業同様、いまのところ中国頼みになっている。2020年度上期(4~9月)の貿易統計は、リーマン・ショック以来の落ち込みだったが、9月の下落率は大幅に縮小した。けん引役は中国だ。

 10月19日発表の9月分の貿易統計によると、中国向けの輸出は3カ月連続で前年水準を上回り、14.0%増(8月は5・1%増)と大幅な伸びをみせた(SankeiBiz)。

 株式市場では、中国での売上比率が高い村田製作所、TDK、日東電工、日本電産などが高値更新基調にあり、中国関連としてのイメージが強いファーストリテイリング、ユニ・チャームの株価もしっかりしているという(マネクリ)。
 

 新型コロナがもたらしたこうした現実を踏まえると産業界は中国になびくとまでは行かずとも軽視しえない。しかし、「偉大なる中華民族の復興」を掲げ、南シナ海への領土拡大などナショナリズムを強める中国だけに、外交では衝突する。そんな経済と外交の板挟みに陥っているのがオーストラリアだ。

豪中は最悪の関係に一変

 オーストラリアにとって、中国は最大の貿易相手国。中国経済が急伸した2000年代の中国の鉄鉱、石炭の爆買いぶりはすざましかった。対中貿易はオーストラリア経済の好調を支えてきた。

 いまも重要な貿易相手なのは変わらないが、オーストラリアが新型コロナへの中国の対応に文句をつけたところから、中国はオーストラリア産の牛肉、大麦、ワインの輸入を制限したうえ、オーストラリア国内で中国人に対する人種差別が広がっているとして、国民に豪州旅行を控えるよう呼びかけた。

 さらに、最近になって、中国当局が複数の国営鉄鋼・電力会社にオーストラリア産石炭の輸入停止を指示したようなのだ(ウォールストリート・ジャーナル)。
 
 
 石炭はオーストラリアにとって、鉄鉱石に次いで輸出額が大きく、石炭輸出の25%は中国向けで、禁止されればオーストラリア経済にとって大きなダメージになる。

 2014年にお互いを「包括的な戦略的パートナーシップ」と位置付けた豪中両国は過去最悪の関係に一変している。

 豪モリソン政権が、対中攻勢を強める米国と歩調を合わせることを重視し始めた背景には、南シナ海問題などがあるのだろうが、国内では、「オーストラリア政府は、アメリカか中国のどちらかを選ぶのではなく、オーストラリアの国益に沿った政策を続けていく。最大の貿易相手国である中国と貿易戦争を始めるのは理にかなうことではない」(NHK)との声が出ている。 

脱中国依存

 一方で、ワイン製造業者の中には、韓国、日本、ベトナムなどアジア向けに販路を拡大する道を模索し始める動きが出ている。

 日本にとっても、中国との付き合い方は難しい。外交では、就かず離れずのスタンスで、経済では中国への依存を深めすぎないようにすることだろうか。危険シグナルは、中国政府が強硬なナショナリズムを展開し始めた時だ。

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