コロナ感染者の半数が第3波に集中 高まる死亡率 大阪が心配

目次
「第1波」「第2波」が、さざ波に見えてくる
第2波では1%を切った死亡率が上昇
大阪の死亡率は全国比2倍近い なぜ高い

 新型コロナウイルス感染の第3波の勢いが止まらない。自分で数字を調べてみて、感染者の急増ぶりに改めて気づかされた。これまでの感染者の半数が12月以降に出ている。死亡(致死)率も昨夏の第2波に比べ高まっている。特に大阪の死亡率が高い。

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「第1波」「第2波」が、さざ波に見えてくる

 まず、感染者から見ていこう。1月10日時点で国内の新型コロナ感染者累計は28万5945人だ。当方は、2020年12月1日から1月10日までの新規感染者数を合計してみたのだが、その数は13万8051人。1カ月ちょっとの間に、累計感染者数の48%を占める新規の感染者が出たことになる(数字は、東洋経済新報のサイト。元は厚労省の発表データだ。このサイトの「検査陽性者数」を、ここでは、「感染者数」としている)。

 1都3県に対し7日、2回目の緊急事態宣言が発出されたが、外出自粛の効果が現れるまで感染者数は増え続けるだろう。「8割おじさん」の西浦博・京大教授の試算によると、1回目の宣言時に近い外出自粛が徹底されても、東京の1日当たりの新規感染者数が100人以下に減るまで約2カ月が必要という(東京新聞)。
 
 飲食店の時短営業などを中心にした今回の緊急事態宣言では、2月末になっても東京の感染者数は約1300人までしか減らない。東経のサイトは、毎日の感染者数を棒グラフにしているが、今回の第3波のグラフの高さと比べると、昨年の第1波、第2波はさざ波に見えてくる。

第2波では1%を切った死亡率が上昇

 さらに問題なのは、昨夏の第2波に比べ死亡率が増えていることだ。厚労省の「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」に、新型コロナ第1波(1~4月)、第2波(6~8月)の際の死亡率を以下のように詳しく表にしている。

(出所)厚労省「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」

 表を見て目を引くのは、第1波時の死亡率(※)の高さだ。5.62%もあった。未知の部分が多く、医師が手探りで治療に当たっていた段階だったせいだろう。志村けんさんや岡江久美子さんは、この時期に亡くなった。年齢別の数字を見ると、70代が17.05%、80歳以上は30%を超える高さだ。50代でも1%を超えた。
 
※「死亡率」は、人口比での数字で、感染者数比は「致死率」と表現するのが正しいそうだが、ここではイメージしやすい「死亡率」を使った。用語の違いについては、横浜市役所のサイトにある「死亡率・致死率(致命率)・死亡割合について」が詳しくてわかりやすい。

 それが第2波になると、死亡率0.96%と1%を切った。重症化に追いたてる原因が免疫の暴走によるサイトカインストームであることがわかってきて、免疫抑制剤のデキサメタゾンが効果を発揮したり、レムデシビルやアビガンなども臨床現場で効果が確認され、治療法が確立されてきたことが死亡率急減の主因だろう。PCR検査数が増えて、分母の感染者数が増えたことも率を低下させた。

 そして、第3波。始まりは11月からだろうが、直近の12月から1月10日の数字で死亡率を計算してみた。結果は、1.38%。1%を切った第2波よりやや高まっている(死者数/検査陽性者数で計算。1905人/13万8051人)。当方の計算のやり方が、厚労省のやり方と違っている可能性もあるが、おおむねの傾向は間違いないはずだ。

 重症化率も載せておこう。

(出所)厚労省「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」

大阪の死亡率は全国比2倍近い なぜ高い

 東経のサイトは、都道府県別の数字もあるので東京都と大阪府も計算したところ、東京0.57%(196人/34212人)、大阪2.49%(353人/14179人)だった。
 
 大阪府の死亡率が高いのは、60代以上の人口割合が多いこと(大阪32.2%、東京28.4%)や3世代同居率が高く(大阪2.5%、東京1.8%)、若者からの家庭内感染が多いこと、それに高齢者施設や医療機関でのクラスター(感染者集団)の増加などが理由として考えられている(毎日新聞)。

「1人の感染者が平均して何人に感染させるか」を示す実効再生産数は、1月10日時点で1.54と上がり続けている。昨年3月には、2を超えたこともあるが、これだけ感染が拡大した中で2を超えるようなことがあればと思うと憂鬱になる。

 日本は、先進国の中でも人口比でベッド数は多いのに、医療崩壊が現実化しつつある。この大きな矛盾を解決することが、政府、自治体の最優先課題だろう。きょう朝、東京都が、都立広尾病院など3病院を実質的なコロナ専門病院にするというニュースが流れた(テレビ朝日)。こうした解決に向けた動きがどんどん出てくることを期待したい。

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