荒川下流域、氾濫のウィークポイント「京成本線鉄橋」

 前回は、台風19号通過前後における荒川の氾濫の可能性について調べてみた。今回は、荒川下流で「氾濫の危険性が高い地点」と心配される京成本線荒川橋梁(関屋~堀切菖蒲園間)に焦点を当てた。なるほど、かなり危うい地点だった。

問題点ははっきりしている。鉄橋が周辺の堤防よりも低いのだ。それも3.7㍍も低い。鉄橋より上流の赤羽付近にある岩淵水門では、水位が7.7㍍に達すると氾濫危険水位に突入するというのは前回、紹介した。その数字と比べれば、3.7㍍低いという状況は深刻だということが感じ取れる。台風19号で持ちこたえたのが不思議に思えるぐらいだ。

堤防より3.7メートル低い鉄橋

地下水くみ上げで鉄橋沈下

なぜ、鉄橋が周辺堤防よりも低いのかというと、地盤沈下があったからだ。昭和30年、40年代の高度経済成長期に地下水の過剰くみ上げによって、江戸川区や江東区を中心に広域的に地盤沈下が生じ、最大で約4.5㍍の沈下が確認されている。現在では沈下はほとんど収まっているが、荒川鉄橋の付近は約3.4㍍地盤沈下している。(「京成本線荒川橋梁架替事業」国交省荒川下流河川事務所)。

 現在の「低鉄橋」に至るまでの過程は図がわかりやすい。鉄橋完成時は、線路は堤防よりもかなり高かったが(図②)、戦後、堤防も鉄橋も全体的に地盤沈下した(③)。その後、堤防はかさ上げしたが、鉄橋は動かすことができないので、新設の堤防よりも低くなってしまった(④)。

台風19号通過前後の鉄橋周辺の川の様子は、荒川下流河川事務所や右岸の足立区役所、左岸の葛飾区役所がウォッチしていたはずだが、その経過を伝えるものはネット上には見つからなかった。

ただ、「乗りものニュース」というサイトで、内田宗治さんというフリーライターが、13日午後に現場を訪れ、書いた記事があった。

取材に訪れたのは、台風上陸から約20時間後。その時の川の様子は、「堤防を水が越えるまであと3メートルから5メートルという状況」だった。すでに水が引き始めていたが、水位が上昇したときの様子はどうだったかというと、堆積物の痕跡などから、「あと2メートルから3メートルで越流にまで迫っていた様子が見てとれました(あくまで目測です)」と推測している。

鉄橋付近のことを書いているのだと思うが、ということは、かさ上げした堤防はさらに3.7メートル高いのだから、越流まで5.7~6.7メートルの余地があったということだろうか。

鉄橋架け替え工事完成は2024年度

荒川に架かる鉄道橋

荒川を渡る鉄道は、この京成本線の上流には、千代田線、常磐線、東武線が、下流には、京成押上線、総武線、都営新宿線、東西線があるが、橋梁の架け替え工事などが済み、いずれも堤防よりも上を走っている。

京成本線荒川橋梁も、架け替えに向けて作業を進めているが、完成は2024年度とまだ先のことだ。2015年10月に出された国交省関東地方整備局の資料にそう書かれているので、その後の作業の進捗状況はわからなかった。

京成本線荒川橋梁架け替えの工程表(関東地方整備局 事業評価監視 委員会)

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