日産株6%高配当の理由 「ルノーに利益を回すため」説は誤り

ゴーン逮捕がきっかけとなって、日産株の高配当ぶりと、それがルノーにとってドル箱になっていることに注目が集まっている。ちょっと調べてみた。

確かに日産株は高配当のようだ。逮捕後、ロイターが流した記事によると、「日産株の魅力は、その配当利回りの高さだ。同社の今期の年間配当予想は、1株57円。予想配当利回りは20日終値の950.7円でみて6.0%となる。不動産投資信託(REIT)を除くと、東証1部銘柄では松井証券(8628.T)、昭和シェル石油(5002.T)に続き3番目に高い」。

メガバンクに100万円預けても1年後の利息はたったの100円という超低金利下に、日産株を100万円持っていれば6万円入ってくるのだから、その数字だけを比べる限り破格の高配当に見える(金額はいずれも税引前)。

「日産はルノーのドル箱」というのも、その通りのようだ。ルノーの2017年業績リポート(Earnings report)を見てみよう。12月決算なので17年1~12月の業績になる。

ルノー利益の半分近くが日産の配当金

リポートの18㌻に損益の収支が載っている。本業の利益を表す営業利益は38億600万ユーロで、これに金融収益(Financial income)27億9900万ユーロが加わる。すべて株の配当のようだが、そのうち、日産の配当金が27億9100万ユーロ(3572億円)とほとんどを占めている。「Nissan」と書かれている。金融収益を加えた税引き前利益は61億100万ユーロ、日本円で7809億円を計上している。そのうち46%が日産からの配当金なのだから、「ドル箱」であるのは間違いない。

日産株の高配当とそれを享受するルノーの財務状況を突き合わせると、ゴーン氏がルノーに利益を回すためにあえて高配当にしているのではないかと考えてしまいそうだ。ラジオでも経済評論家がその疑いを口にしていた。

Kobaちゃんもそう思っていたのだが、どうも違うらしい。この個人投資家さんのブログを読むと「なぜ日産自動車の配当利回りが高いのか? それはズバリ株価が低いから。それだけ」とある。

配当利回りは、上記ロイターの記事が示すように配当額÷現在の株価で割り出される。つまり、配当額が同じだったら、分母の株価が小さければ(低ければ)、利回りは高くなる。日産は株価が低いから利回りが大きいだけというのだ。

利益のうちどれだけを株主に分配しているか他社と比較するには、配当性向が重要になる。最終利益のうちどれだけの割合を配当金支払いに回したかを示す数字だ。

日産の配当性向は、17年度:27.8% 16年度:28.9% 15年度:33.6%と30%前後になっている。この数字は、日本の上場企業のまさに平均らしい(日経新聞)。

同業のトヨタも「連結配当性向30%を目安に安定的・継続的に配当を行うよう努めていきます」と目標数字にしているほどだ。ちなみにトヨタの配当金は1株当たり220円で、日産の57円よりかなり高い。しかし、株価が6800円超なので、配当利回りは3%ちょっとだ。

ということで、日産の高配当は決してルノーに配慮したものではなく、日産株が低いためであることがはっきりした。自動車株を持っている人ならば常識かも知れないが。

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