サウジ、近く皇太子に王位継承の観測

6月に皇太子となったムハンマド・ビン・サルマン氏は、改革の抵抗勢力排除に取りかかる。9月には、聖職者ら保守派やリベラルな思想家、そして王族の一部など30人以上の身柄を拘束した。その約半分は聖職者で、1990年代に反政府運動に参加した元原理主義者たちが多いという。

ムハンマド皇太子は、サウジアラビアでは禁じられている女性の自動車運転を認めたり、数年前には考えられなかったコンサートや公演を催すなど社会的な自由を拡大する路線をとっている。保守的な聖職者らは、こうしたやり方が気に入らないのだろう。

11月には、汚職の取り締まりを理由に王族数十人を拘束し、その強権的なやり方が世界を驚かせた。6月に皇太子の座を追われたムハンマド・ビン・ナエフは、拘束はされていないが銀行口座が凍結されたという。ナエフは、長きにわたりサウジの安全保障・治安部門のトップの座にいた有力王族だったが、サルマン国王-ムハンマド皇太子の親子によって放逐されてしまった。ムハンマド皇太子への権力集中がますます進み、「ミスター・エブリシング(全てを牛耳る男)」とまで呼ばれるようになったという。

『ウォールストリート・ジャーナル』は、9月に「一部では今月にも王位が継承されると予測されていたが、今は年末から来年初め頃が有力だと関係者は話す」とムハンマド皇太子への王位継承を伝え、11月にも再び、「サルマン国王は数カ月のうちに退位し、ムハンマド皇太子に譲位するとみられている」と関係者の話として伝えている。同紙は、サウジの古い宗教的因習を改め、経済、社会改革を志向するムハンマド皇太子寄りにもみえる。(いずれも上記2つの記事)。

サウジの政府筋は王位継承を否定している
皇太子は32歳。社会的な自由を拡大し、若い人たちからの支持を集める一方で、政治的な批判は許容せず、抵抗勢力を排除するタカ派的な面も併せ持っている。外交にもイランに強硬な態度を取るなどタカ派色が強い。

来年前半にも譲位されれば、北朝鮮の金正恩よりも若い国家元首が誕生することになる。その環境を整えつつあるようにみえる。

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