入り乱れた米中貿易紛争の経過をたどる

今年3月から本格化した米中貿易紛争は、いまだ解決のメドが立っていないが、追加関税の制裁合戦などニュースが入り乱れているので、これまでの経過をたどり、いまどんなことになっているのかを整理してみた。

まず、最新の動きから。

先月30日に、ブルームバーグがトランプ大統領とのインタビュー記事を流した。米国が検討している中国からの輸入品2000億ドル相当への関税を「来週(つまり今週」発動するとの内容だ。企業などからの意見聴取が6日までなので、それが終わり次第というから7日以降の早い時期か。

ただ、関税の発動を明言したわけではなく、発動を確認する質問に対し、トランプ大統領は「間違いとは言えない(not totally wrong)」と笑みを浮かべて答えているだけで、事情に詳しい関係者6人から聞いた内容を補強し記事にしている。

このためか、記事は、「トランプ大統領はまだ最終決定を下しておらず、米政府としては段階的な関税発動を選択する可能性もあるとの見方もある」「大統領が来週に関税を発表して後日発動する可能性もある」と決定ではないことも同時に伝えている。

そもそも、米中貿易紛争は、トランプ大統領が、中国の技術移転策や知的財産権の侵害を理由に、1974年通商法301条に基づき対中制裁措置の発動の調査を命じたのが始まりで、昨年8月のことだった。

紛争が本格化して、世間にも広く知れ渡ったのは、調査結果を踏まえて今年3月、トランプ大統領が制裁の発動を命じてからだ。

中国はナショナリズムを抑制

発動の命令や実際の発動実施、その発動が2回に分けて実施されたり、その間に、中国の報復や口先だけの追加発動も入ったりで、わかりにくくなっているが、その後の経過を、ジェトロビジネス短信をベースに追うと、実施された制裁、予定されている制裁は、これだけである。

4月3日 制裁第1陣として、中国からの輸入品500億ドル相当の対象品目を米国が発表
7月6日 第1陣1回目の340億ドル相当について25%の追加関税実施
7月10日 第2陣として、中国からの輸入品2000億ドル相当の対象品目を米国が発表
8月23日 第1陣2回目の160億ドル相当について25%の追加関税実施

中国も米国が340億ドル、160億ドル相当を実施すると、即日、それぞれ同額の輸入品に対し追加関税実施を発表している。

2000億ドル相当が実施されれば、中国は600億ドル相当の米国輸入品への追加関税実施を発表している。金額が少ないのは、米国からの輸入品額が1300億ドル程度だからだ。

中国はトランプ大統領の攻勢に対し、比較的冷静に応じているようにみえる。香港の日刊紙『South China Morning Post』が7月に観測筋の話として伝えた「5月に劉鶴副首相が米国との和解交渉に失敗した後、ナショナリズムをトーンダウンさせるよう幹部たちに明確な指示を与えている」という記事は当たっていたようだ(Kobaちゃんの硬派ニュース)。

しかし、中国も決着へのシナリオを描いているだろうから、いずれ大きな動きを見せるはずだが、それが、ナショナリズムをトーンダウンさせたものかはわからない。

紛争がどういう形で決着するか、見えていないが、米国側の動きは、前出のブルームバーグの記事(原文)によると「トランプ政権で、対中タカ派の勢いが増している」という。そして、直近の対中関税決定(The latest China tariff decision)をめぐり、USTR(米通商代表部)のライトハイザー代表、ナバロ国家通商政策局長ら対中タカ派と、ムニューシン財務長官、クドロー国家経済会議委員長ら対中ハト派との間で激論が交わされたという。

この2対2の対立は、これまでも言われてきたが、その結末はどうなるのかの見通しを次回は紹介しよう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする