米中貿易戦争 アップル株大幅下落 中国脱出できるか

「アップルはどうするんだろう」。米政府がついに中国産スマートフォンにまで関税の対象を広げるとの対中制裁関税第4弾のニュース(日経新聞)を読んで、アップルの経営判断を知りたくなった。

中国からよその国へ生産を移転するには相当のコストとエネルギーが必要だ。米中貿易戦争という外からの圧力に強いられてのことだから「勇んで」とはなれないはず。

一方、スマホ、携帯電話など約3000億ドル(33兆円)相当への米国の関税は、産業界の意見聴取が必要だから発動は早くても6月末になる。こじれて見える米中通商交渉が合意に至り、関税が実施されない可能性もある。アップル経営陣も交渉の見通しが日々変化するトランプツイートに振り回されていることだろう。

米中貿易戦争は、今後の見通しこそ最大の関心事だが、今回は、アップルの対応に絞って調べてみた。ブルームバーグやロイターが流した英文記事をベースに日本語版メディアが伝えた内容だ。

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中国からの移転は難しい

よく知られているように、アップルは、長きにわたり、iPhone、iPad、Macを中国で生産してきた。同社のサプライチェーンは現在、何百もの企業に及んでおり、iPhoneの組み立ても台湾のホンハイ(鴻海精密工業、フォックスコン)やペガトロン(和碩聯合科技)といった中国に工場を持つ企業が大部分を担っている。こうした広い生産ネットワークの一部を中国の外に移すのは難しい、と見られている(Engadget)。

しかし、そうも言っていられなくってきた。関税が実施されれば、アップル製品であっても中国産である限り、米国に輸入されれば、米政府に納める関税はアップルが負担しなければならない。

アップル株6%近い大幅安

市場は早速反応した。13日の米株式市場は、中国が報復関税を表明したことから大きく値を下げた。ダウは617ドル38セント(2.4%)安で、その下げ幅のうち195ドル分は、中国事業の比率が高いアップルとボーイング2銘柄のせいだ。スマホの関税リスト入りが警戒されるアップルは6%近い大幅安だった(日経新聞)。

関税10%までは我慢するが

アップル製品は、すでに実施されている2500億ドル分の中国輸入品への関税からは免れている。しかし、新たに関税が課せられても、それが10%の水準ならば、「現行の生産体制を維持する」が、「関税比率が25%に設定された場合は考え直す必要がある」と伝えられていた。ブルームバーグが昨年12月13日に流した匿名の関係者の話としての記事だ。

移転先としては、インドが取り沙汰されている。インドなどでの生産の兆しを伝えるロイターの報道も出ている。アップルも加盟しているスマホ関連の業界団体「The India Cellular and Electronics Association (ICEA)」は、インド政府に対して、電子機器の輸出に向かうよう働きかけているほか、ホンハイがインドでiPhoneの製造を計画していると伝えられている(iPhone Mania)。

「3億5600万ドル(約390億円)を投資してタミル・ナードゥ州にあるiPhoneの組み立て工場を拡張する予定だという」(Forbes)。ただし、これはインド国内向けらしい。

ざっと調べた米中貿易戦争の中のアップルの状況だ。