中身はともかく、米朝首脳会談実施に加速  

南北首脳会談後の19日のピョンヤン共同宣言で、米朝首脳会談の実施に向けた動きが加速している。

ポンペオ米国務長官は、19日に声明を発表し、「両首脳が、朝鮮半島の完全非核化をうたったシンガポール米朝共同宣言を再確認したことを歓迎する。米国、国際原子力機関の査察の下、寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄が盛り込まれたことも歓迎する」としたうえで、「米国は北朝鮮との案系を改善するためにただちに交渉に入る用意がある。今朝、私は交渉相手の李容浩(リ・ヨンホ)外相に来週、ニューヨークで会談するよう招いた。われわれは、国連総会に出席することになっている」と米朝外相会談を提起している。

一方、米韓首脳会談の日取りが24日に決まったことを韓国青瓦台(大統領府)が発表した(聯合通信)。

韓国の文大統領は、米朝の橋渡し役を自認しており、今回の南北首脳会談の内容をトランプ大統領に詳しく説明する。ポンペオ・李会談で、直接北朝鮮の外相からも話を聞き、会談実施の是非を判断をくだすものとみられる。

南北首脳会談については、専門家らの多くは「会談の核心だった『非核化』では成果がなかった」という評価を出した(中央日報)。

同紙の記事から専門家の見方を紹介すると、まず、会談そのものの評価については、
ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長は「南北の協力には相当な進展があったが、非核化では大きな進展がなかった」とみる。

スコット・スナイダー外交問題評議会(CFR)研究員は、米朝間の非核化交渉に進展がない状況で南北間の関係改善があまりにも先を進んでいると懸念を表した。

保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリンガー研究員は「文大統領は平壌の『誘惑の言葉』に屈服した」と指摘した。

ランド研究所のブルース・ベネット研究員は「南北が発表した経済計画が国連の対北朝鮮制裁を違反しないか懸念される」と述べた。

北朝鮮の非核化の動きについての評価は、
「核申告、外部検証受け入れ、核無能力化日程の提示を拒否した」「(北朝鮮が)寧辺(ヨンビョン)と西海(東倉里)で譲歩カードを提示したのは結局、今後、核実験やミサイル発射は中断しても(核)武器は決して放棄しないということを示唆する」(チャ氏)。

ピョンヤン共同宣言では、「米国が相応の措置を取る場合」には「寧辺核施設を廃棄」するというが、「米国は当初から寧辺に限定された査察を望んでいない。すべての核施設と核物質に対する検証が可能な『リスト』を望んだが、これが得られなかった」(スナイダー氏)と米国が望む非核化は進んでいないとの判断が多かった。

非核化については進展がなかったという専門家の評価もあり、米朝首脳会談の実現可能性については、ベネット氏は「トランプ大統領の行動は予測が難しいが、交渉実務チームは今回の会談の結果では2回目の米朝首脳会談を推進しないだろう」という見方を示した。

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無視できぬ中国

トランプ-ポンペオのラインで11月6日の中間選挙前までに会談を実施するよう突っ走る可能性があるが、対北朝鮮強硬派のボルトン補佐官、マティス国防長官らがブレーキをかけるだろうというのが、ベネット氏の見方だ。

さらに、米朝首脳会談を政治ショーで終わらせるのではなく、朝鮮戦争終戦宣言のような中身の伴うものにしようとするならば、中国を無視できない。中国を巻き込むには時間がかかるだろうから、来月中にも会談を終わらせたいとするならば、政治ショー的なものになりそうだ。

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