原油価格は100ドル突破するのか② 一過性の価格高騰はありそう

前回ブログでは、サウジ-ロシア主導による産油国の協調減産で、一時、バレル30ドルまで暴落した原油価格が回復するまでをたどった(Kobaちゃんの硬派ニュース)。この減産に加えて米国の対イラン制裁再開が上昇に拍車をかけている。

イラン制裁第2弾は、11月5日発動

トランプ政権は、5月8日、イラン核合意を離脱し、解除していたイランへの経済制裁再開へと動いた。(米国にとっての)外国人、外国企業によるイランとの取引が再び制裁対象となった。

制裁再開は2段階に分かれ、第1弾は、制裁猶予期間(90日)が切れる8月7日に実施された。第2弾は、猶予期間(180日)が切れる11月5日に発動予定で、イランとの原油・石油製品の取引、イラン中央銀行、その他イラン金融機関との決済など、原油、金融取引が制裁対象となるる。制裁発動後も、イランと取引を続けた企業は、制裁⾦を科されたり⽶市場でのビジネスを禁じられたりするので、イランからの原油輸出は大きく落ち込むだろう(ジェトロビジネス短信)。

ダイヤモンド・オンラインの記事によると、8月のイランの原油生産量は、OPEC総会で定められた日量約380万バレルの生産上限枠を、すでに30万バレル程度下回っており、350万バレル程度らしい。

さらに、実質的に国家破綻状態のベネズエラの生産落ち込みに歯止めがからないという。「ブルームバーグによると、日量約197万バレルの生産枠に対して8月の生産は133万バレルと、落ち込みが激しい。長引く米国の経済制裁の影響もあり、当局のアナウンスによれば、年末までに100万バレル近くまで落ち込みそうだ」。

こうした地政学リスクがここのところの原油価格上昇の要因になってきた。OPEC産油国は今年6月の総会で、2017年初頭から続けてきた協調減産の緩和を決めたが、増産ペースはゆっくりだそうだ。

余剰生産能力にも疑問がある。供給減を補う主役は、サウジとロシアだが、両国合わせても「余剰生産能力は日量200万バレル台半ばが限界。イランとベネズエラで予想通りかそれ以上に生産が減ると、「余力」はいくらもないことになる」という。

需給逼迫がこの先にやって来そうな現況を見ると、原油価格の先高観は消えそうにない。ただ、WTI先物価格が150ドルに迫った2008年7月の頃に比べると投機マネーが原油市場に向かっている気配はない。当時は、中国など新興国の原油需要が大きく伸びたのと、ファンドのマネーが原油や大豆などコモディティー(商品)に向かったことが高騰を招いた。そこまでの上昇パワーはないだろう。

ダイヤモンドの記事は、中期的な見通しも展望している。それによると、今後も世界の原油需要は増え続けるが、供給面では、米国シェール勢が、パイプラインの整備や生産効率を改善させ、原油供給を本格的に増やしてくるし、原油価格の高止まりは、カナダのオイルサンドや海底油田の開発を後押しするので、原油需給は今よりも緩和するとみる。

このため、最近の価格高騰は「供給サイドの新たなプレーヤー(シェールやカナダのオイルサンド等)が目覚める前のアクシデントよってもたらされたとも言える。言うなれば、ボトルネックと一時的なリスク要因が複合的に顕在化した状態だろうか。ならば、これから一過性の価格高騰はあったとしても、相場水準が大きく切り上がることは考えづらいかもしれない」と結論づけている。

一時的にバレル100ドルを突破しても、80~90ドル程度の「ほどほどの高騰」で推移するというのがメインシナリオと考えればいいのだろうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする