ダウ暴落に拍車かけた原油価格暴落 ロシア、サウジは暴落に耐えられるのか

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 ニューヨーク・ダウ平均が9日、2000ドルを超えて暴落(▼7.79%)したのは、新型コロナによる世界経済失速懸念に加え、原油価格が▼25%で、バレル31ドルへと(WTI)暴落した影響も大きい。

 原油暴落の原因は、ロシアが減産を拒否し、サウジアラビアが増産を決めたこと。新型コロナで世界経済が減速するから原油需要の減少が見込まれるさ中に供給を増やそうというのだから、価格が下がるのは当然。両国とも下落を承知で取った行動なんだろうが、なぜ、そんなことをしたのだろう。両国とも原油に依存する経済なのに耐えられるのだろうか。

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ロシア、米国からシェア奪いたい

 まず、ロシアの減産拒否から。OPECプラス(石油輸出国機構とロシア、メキシコなど)は、現在、協調減産している。減産規模は、日量170万バレル(2018年秋比べ)。今年3月末が期限なので、世界経済減速が見込まれることから、OPECの盟主、サウジが減産期間の延長と日量40万バレルの追加減産するよう求め、ウィーンで4日からOPECプラスを開き話し合っていた(毎日新聞)。(追加減産規模は100~150万バレルとの説もある)。

 しかし、ロシアが減産を拒否したわけだ。ロシアが嫌がっているのは、原油生産の世界シェアを落とすこと。シェールオイルで生産を増やしている米国は、協調減産の枠組みに入っていないため、価格がそこそこ高ければ自由に増産できる。

 ロシアではこれ以上、OPECプラスの枠組みに束縛されたくないとう空気が広がっている。「ロシアの石油各社に共通するのは、協調減産が3年以上に及んでいる結果、各社それぞれの中期経営計画、投資や生産の計画が束縛され続けているという不満だ。減産を続けたら世界市場でのシェアを減らすだけという不満もくすぶる」(日経新聞)。

ロシア財政は、バレル42.40ドルが下限

 自由になるのはいいが価格は下がる。ロシアの国家財政は耐えられるのだろうか。下限価格はプーチン大統領が明かしている。

 プーチン大統領は、3月1日に石油各社代表やエネルギー省幹部らと会った際に、こう説明したそうだ。
「ロシア政府が予算編成のベースとしている原油価格は、北海ブレントで、年間平均1バレル42.40ドル」(前出日経新聞)。北海ブレントは、原油価格の指標となっているWTI価格よりも5,6ドル高い(3月12日午前0時過ぎには、3ドル程度高い)。

 6日の北海ブレントは約45ドルだったから下限に近かった(Oil Price.com)。下限突破のリスクを冒してまで協調の枠組みから自由になりたかったのだろうか。

 下限に近いロシアだったからサウジの増産の動きには面食らっただろう。いや、ロシアだけでなく、世界の市場関係者が驚いた。減産を持ちかけた側が増産に踏み切るのだから。

サウジ、なぜ正反対の行動を取ったのか

 なぜ、正反対の行動に走ったのか。今回のサウジの増産方針は「OPECプラスの枠組みを拒否したロシアに対する懲罰的措置」(アナリスト)という見方が多い(前出毎日新聞)。怒り心頭か。

 怒りもあっただろうが、サウジもロシア同様、シェア拡大を狙ったのではないかとの見方もある。
 ロシアに追加減産を拒否され、生産調整によって価格を押し上げることを断念し、「アメリカのシェールオイル業界との価格戦争を再開、価格の維持ではなく、世界市場におけるシェアを広げるという方向に方針を転換したということなのだろう」(東洋経済オンライン)。

 また、サウジで権力を掌握するムハンマド皇太子が、有力王族を拘束し始めた(NHK)時期とちょうど重なっているので、国内の政変との関連もあるのかもしれない。

サウジ財政の下限

 そして、サウジの財政は耐えられるのだろうか。
前出日経記事は、「20年予算の前提となる原油価格が北海ブレントで1バレル60ドルと推計されている」とロシアよりも下限がかなり高いとの見方を紹介している。

 毎日新聞は、逆の見方で、財政耐久力はサウジ>ロシアだという。「サウジは原油生産コストが安く価格が下落しても一定程度耐えられるが、採算ラインがサウジよりも高いとみられるロシアや米国のシェールオイルに打撃となる」と伝えている。

米シェールオイル、新規ならば50ドルまで

 一方、ロシア、サウジからシェア奪回を狙われている米シェールオイルはどうかと言うと、シェール技術の開発当初、生産コストは、1バレル=60ドル、70ドルと言われていたが、その後、技術革新によって急速に低下し、現在では既存の油田で25ドルから40ドル、新規の開発でも50ドル前後と見られている(前出東洋経済)。

 ただ、過度に原油価格が下落すれば、採算に合わないシェールオイル会社が増え、国家と違って破綻する恐れがある。それらの会社に投融資している金融機関の経営も揺るがすという連想も、今回のダウ暴落に影響しているらしい。今後も原油価格の動きは、株価の動きを大きく左右しそうだ。

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