【今週(10月15日~)起きそうなこと】トランプの思い込みで中国はクロにされるか 為替報告書

10月15日~ ※海外は現地時間
週内 米財務省が為替報告書発表(見込み)こちら
15(月) 経団連が「主要政党の政策評価」を公表
再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委(経産省)
16(火) 安倍首相、スペイン、フランス、ベルギー訪問へ出発(20日帰国)
経団連が外国人労働者受け入れで提言
17(水) EU首脳会議(ブリュッセル、18日まで)
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(午後2時)
カナダ、大麻合法化
18(木) 連合が2019年春闘の基本構想を発表
アジア欧州会議(ASEM)首脳会合(ブリュッセル、19日まで)
WTO一般理事会(ジュネーブ、19日まで)
19(金) 9月の全国消費者物価指数
7~9月期の中国GDP(午前10時)
9月の中国鉱工業生産、小売売上高(午前10時)
(出所)時事通信、ジェトロ等

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世界同時株安

米国発の世界同時株安は12日にいったん収まったが、乱高下しており全面終息したとは言えず、15日週の動きに注目が集まる。「日経平均は、貿易摩擦、中国経済指標、為替動向、米国株と中国株の動向に、敏感に反応する展開となろう」(株探)。

世界株安を主導している米国株は、長期金利の動きのほかにも、企業業績も上下を左右する要因。7-9月期決算発表が本格化して15日にバンク・オブ・アメリカ、16日にモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、ネットフリックス、17日にアルコア、18日にノバルティス、19日にP&Gなどの決算発表がある。

通貨戦争を仕掛けるか

米中貿易紛争の真っただ中に中国を為替操作国に認定するかどうか--15日週に公表が見込まれている米財務省の為替報告書が要注目だ。Kobaちゃんの見立てでは「認定はありえない。はい、終わり」なのだが、常識破りのトランプ大統領が認定したがっているようなので注目せざるをえない。

「中国は間違いなく為替操作をしていると思う」。トランプ大統領は8月20日のロイターとのインタビューでそう語った。ムニューシン財務長官には、こうした公の発言だけでなく、内々にも中国を為替操作国に認定するよう圧力を加えてきたという(ブルームバーグ)。

財務省スタッフは、認定の根拠を探したが、見つけられず、長官に対して「中国は人民元を操作していない」と報告した(前出ブルームバーグ)。この記事は「同長官が異なる結論を発表する可能性もある」と添えている。大統領が引っくり返す可能性を捨てきれないからだろう。

米国との貿易紛争が激化する中、中国にとって人民元安は、米国による追加関税を相殺する効果があり、ありがたいのは確かだ。しかし、中国政府には人民元安に嫌な記憶がある。世界同時株安を招いた2015年、16年の時の経験だ(Kobaちゃんの硬派ニュース)。

元安が行き過ぎれば、資本流出、大幅株安を招く。ちょうどいい元安水準で止まる保証はないので、政府、とりわけ通貨当局は元安操作に手をつけたくないはずだ。

むしろ逆に、中国は、これまで元安を抑制する措置を打ってきた。
たとえば、中国人民銀行は、8月3日には、銀行が元売り外貨買いの際、人民銀行に契約額の20%を外貨リスク準備金として積み立てさせる政策を公表した。売買コストが増えるので元売りにブレーキをかけることになる。また、人民銀行が毎日設定する中心レートが元安になりにくいようにする方式も再開した(Science Portal China)。

ロイターは、資本流出と人民元の不安定化を恐れて、中国当局が国内居住者による対外投資を制限する「窓口指導」に乗り出していると伝えている。この記事で、欧米の専門家たちは、中国当局は行き過ぎた元安を嫌うだろうことを指摘している。

IMFの幹部も、中国は為替レートを市場の力に委ねており、現在の水準は経済のファンダメンタルズにほぼ沿ったものとお墨付きを与え、結果的に為替操作を否定している(ブルームバーグ)。

こう見てくると、為替操作国と認定することはありそうもない。トランプ大統領が何を根拠に「間違いなく為替操作をしていると思う」と断言できるのかは不明だ。この言葉の後に「ユーロも操作されていると考える」と語っているので、「操作」の意味が緩いのかもしれない。

トランプ大統領が自説にこだわり、「認定」に引っくり返す可能性は否定しきれない。実は大統領はもうちょっと合理的で、対中貿易紛争をより有利に進めるためのカードとして為替報告書を使っている可能性もある。