同盟国に「ファーウェイ製品は危ない」と伝えていた末の逮捕

米国の依頼による中国のファーウェイ副会長逮捕。米中貿易紛争の新たな交渉が始まろうとするこの時期に、どう展開するのか。

関連記事を調べていくと、米国は日本など同盟国にもファーウェイの通信機器を使わないよう説得していたと、ウォールストリート・ジャーナルが11月23日に特ダネとして伝えていた。

中国の通信機器大手、ファーウェイ(華為技術、Huawei)の孟晩舟副会長、CFO(最高財務責任者)は1日にカナダ当局に逮捕された。米国の要請によるものだった。

逮捕理由は、米国が敵視するイランへの違法輸出という(日経新聞)。ウォールストリート・ジャーナルは、4月に米司法省が、ファーウェイについて、対イラン制裁に違反した可能性を捜査していると報じているので、その延長線上のことかもしれない。

イランへの違法輸出とは別に、米政府当局者はファーウェイについて安全保障上の懸念を抱き、日本、ドイツ、イタリアなどの同盟国政府とその国のワイヤレス、インターネット事業者にファーウェイの通信機器を使わないよう説得していたという(ウォールストリート・ジャーナル)。

米政府当局者が心配していたのは、世界のワイヤレス、インターネット事業者が導入を準備している次世代モバイル技術である5Gの設備だった。

中国は5G技術に世界的に先行しており、ファーウェイはいまのところ世界で唯一の5G機器のサプライヤーと専門家から評価を受けている。

ところが、5G通信網は通信インフラへのサイバー攻撃にもろく、米当局者は、中国製の通信機器がスパイ機能や通信停止をもたらす恐れを同盟国政府や通信会社首脳に説明し、ファーウェイのネットワークを使うのを思いとどまらせようとしていると記事は伝えている。「北京政府は自国企業に政府の要求に従わせることができる」ことを各国に伝えることが目的だったという。

こうした米国の働きかけに対し、オーストラリアは5G通信網からファーウェイと中国のZTE製品の使用を禁止し、英国でもファーウェイを対象に通信設備の見直しに動き始めた。

日本政府の当局者に対しても説明をすませており、8月に日本の当局者は、ファーウェイを規制するよう研究している(studying)と語っている。

孟氏逮捕は、米中貿易紛争が、対米赤字減らしだけの問題でないことを米国が改めてメッセージとして中国に伝えたのだろうか。もっとも、中国としてはそんなことは百も承知だろうが。

ファーウェイ幹部のGuo Ping氏は、ウィーチャットに「当社は孟氏の罪状について情報はないし、彼女がかかわる不正についても情報はない」「ファーウェイは、現地のあらゆる法律、規則に従っている。国連、米国、EUの輸出管理や制裁についてもだ」と書いている(財新網)。

カナダ司法省はメディアに対し、Eメールで「金曜日(7日)に保釈の聴聞がある。孟氏の要請でこれ以上の細かな情報は今は提供できない」と答えている(同上)。

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