オックスフォード大ワクチンの実力 早ければ1月供給か

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 前回ブログに引き続き、国内でのワクチン接種の見通しについて調べてみた。前回の後半に少し紹介したオックスフォード大学と英製薬大手、アストラゼネカが販売を目指すワクチンのことだ。

 オックスフォード大のワクチンは、世界の開発競争に先行しているので、日本への供給時期について、米ファイザーの「早くて来春」という当方の見立てよりも早まるのではないかと期待していた。

 その後、厚生労働省が8月7日にアストラゼネカとの供給基本合意を発表し、それを読むと、ファイザーよりも1、2カ月早まるかもしれない。

 厚労省のプレスリリースには、「アストラゼネカが新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した場合、来年初頭から1億2000万回分のワクチンの供給(そのうち3000万回分については第一四半期中に供給)を受けることについて、アストラゼネカ株式会社と基本合意に至りました」と書かれている。

早ければ1月供給か

 ファイザーの時のニュースリリースは、「ワクチン開発に成功した場合、来年6月末までに6000万人分のワクチンの供給を受ける」であり、それに比べ、「来年初頭」「第一四半期中」と、早ければ1月供給もありうる表現だ。

 もっとも、「第一四半期中」に3000万回分だから、残り9000万回分は、4月以降になるということで、すべての国民が接種するのは、ファイザーの分も合わせて、来年5、6月から夏にかけてというところだろうか。

 プレスリリースの字面を訓詁学的に解釈しても、机上の計算であるし、大局的には大きな違いはないかもしれない。大局的には、感染が拡大しやすいと思われる冬シーズンには間に合わないということだ。インフルエンザワクチンの物差しで考えると、インフルエンザの場合、ワクチン接種は、10月が望ましく、遅くても12月中旬までと、医師はアドバイスしている(Open Doctors)。

 しかし、冬シーズンに間に合わないとは言え、3月に接種が始まるのと、1月に始まるのでは、感染拡大のマグニチュードは大きく変わるのではなかろうか。ワクチン接種が、1カ月、2カ月遅くなったために、新型コロナで命を失う人もきっと出るに違いない。

 もちろん、安全性を軽視した拙速の開発は願い下げだ。

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ほぼ全員に抗体生成

 今回、厚労省が基本合意した相手は、アストラゼネカだったが、ワクチンの開発の中心は、オックスフォード大ジェンナー研究所であり、アストラゼネカの役回りは、ワクチンの生産・販売だ。

 同社には世界各国から20億回分以上の予約注文が入っているという(フィナンシャル・タイムズ=日経新聞、7月27日付)。ワクチンの有効性については、アストラゼネカが7月20日に、治験結果についてプレスリリースを発表している。それによると、18歳から55歳の健康な成人1077人を対象にした第1/2相試験で、全員が免疫を得たという。

 詳しく言うと、1回接種を受けた1067人の95%の被験者は、接種1カ月後に抗体が4倍に増加したことが確認され、すべての被験者において、T細胞反応が誘発されたという。T細胞とは、白血球の一種で、病原体を攻撃し、その病原体を記憶するので、2回目に出会うと、効果的に相手を攻撃できる(中外製薬)。
 
 オックスフォード大・アストラゼネカのワクチンは、ファイザー・バイオNテックのワクチンが2回接種であるのに対し、1回でもかなり有効のようだ。だとすれば、3月までに供給される3000万回分は3000万人分に相当する。ただ、厚労省は、接種回数をまだ決めてないようで、百%有効を確保するためだろうか、2回接種もありそうだ(朝日新聞)。

 また、ほぼ全員に抗体が生成されたと言っても、それが体を守るのに十分な効果かどうかを判断するには時期尚早で、さらに大規模な臨床試験が必要だ(BBC)。続く第2/3相試験は、英国、ブラジル、南アフリカ、米国で進め、数カ月で数万人の被験者にワクチンを投与し、安全性と有効性を確認するという。

漏れのない準備を

 厚労省は、米モデルナともワクチン供給の交渉中で、その結果も合わせて、政府は、ワクチン接種の大まかな展望を示してもらいたい。供給と接種とのタイムラグもできるだけ短くするなど、漏れのない準備を望みたい。ワクチンのスケジュールは、前回ブログでも書いた通り、経済活動、社会活動の今後の予定を立てる上でも、必須の情報なのだから。

 オックスフォード大のワクチン開発では、オックスフォード大の名前が前面に出ているが、無名企業が重要な役割を果たしている。資金調達の話も併せて次回に書いてみようと思う。

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