GDPマイナスの最悪タイミングにやってきた新型コロナウイルス

目次

エコノミストたちはなぜ間違えたのか

増税対策は効果が薄かった

新型コロナウイルスが追い打ち 

新型コロナウイルスは、消費増税のダメージを受けた日本経済にとっていやーなタイミングでやって来たものだ。

エコノミストたちはなぜ間違えたのか

 昨年10~12月期の実質GDP(国内総生産)は、ニュースで伝えられている通り、年率で前期比6.3%減と大幅なマイナス成長だった。民間シンクタンク10社の予測平均は3.6%減だったから(時事ドットコム)、予測をかなり上回る落ち込みぶりで、エコノミストたちを驚かせたようだ。

 エコノミストたちの予測がはずれたのは、予想以上の買い控えか設備投資の落ち込みだろう。前者ならば、10月実施の消費増税の悪影響を甘く見たようだ。買い控えを的中と言っていいほど正確に予測した第一生命研究所のエコノミストもいる。これは後述する。

 では、買い控え、すなわち「個人消費」の落ち込みがどれだけマイナス成長に”貢献”したかを、元の発表資料に当たってチェックしてみよう。内閣府の用語で「寄与度」と呼ぶものだ。

 下の表は、17日に内閣府が公表した「四半期GDP速報」の11㌻だ。この中で、上から4項目の「民間最終消費支出」が、エコノミストやメディアが呼ぶ「個人消費」に当たる。

 10~12月を見ると、-2.9、つまり前期比2.9%減だが、そのすぐ右のカッコの中の-1.6という数字が「寄与度」である。GDP-1.6%のすべてをカバーするほどの個人消費の落ち込みだったことがわかる。

 さらに設備投資(「民間企業設備」)が-0.6%で、個人消費と合わせると-2.2%と実際の数字(-1.6%)を超えてしまうが、「外需(財貨・サービスの純輸出)」が0.5%プラスだったので、-1.6%に収まった。

増税対策は効果が薄かった

 個人消費のこれほどの落ち込みは予想外だった。安倍政権も前回2014年4月の税率8%への増税後の景気減速に懲りて、今回は負担を軽減させる対策をかなり打っていたからだ。

 飲食料品は税率8%で据え置く軽減税率を導入し(負担減1.1兆円)、幼児教育の無償化、医療機関の診療報酬補填(同3.2兆円)、ポイント還元や低所得者向け「プレミアム付き商品券」の発行(同2兆円)など、負担減の総額は、税率引き上げで家計にかかる負担5.7兆円を上回っている。

 耐久消費財についても、自動車では、10月から自動車取得税の廃止と自動車税減税を、住宅では、住宅ローン減税の対象期間を10年から13年へと延長した。

 こうした対策が功を奏して増税前の駆け込み需要も前回ほど目立たなかった。しかし、ふたを開けてみると、消費者の財布の紐は固かった。

 ときめくような経済成長もなく、実質賃金はちっとも上昇しない、年金など将来への不安も消えない--そんな環境が消費行動を抑制させているのだろう。

落ち込みを予測したエコノミストもいた

 さて、前述した第一生命研の予測的中に触れよう。実は、個人消費が回復しないとまずい状況に関連してくるからだ。

 2月10日の予測レポートを書いたのは、新家義貴主席エコノミスト。個人消費を2.8%減と予測していた。内閣府の数字が2.9%減だから、当たりと言っていいだろう。あっぱれ。

 新家氏は、家計調査などのデータを点検して、個人消費について、「10-12 月期の落ち込みはかなり大きなものになる可能性が高い」とし、「増税後の消費減は限定的なものにとどまるとの見方が当初は多かったが、実際には大きな影響が出たようだ」と見通していた。
 GDP全体の予測では、年率4.5%減と外れたが、その理由は、設備投資だった。新家氏は、2.0%減の予測だったが、実際は3.7%減と2倍近い落ち込みだった。

 そして、これが個人消費のダメージ回復が遅れるとまずい理由だ。経済成長は、個人消費、設備投資、外需(輸出ー輸入)が主要なエンジンだが、設備投資は企業収益減速でパッとせず、外需も米中貿易戦争のあおりで低調だ。2019年の日本経済を下支えしてきたのは個人消費だった(「2019年日本経済を数字で振り返る 内需が支えた1年」)。

 孤軍奮闘の個人消費に加勢するために設備投資に早く元気になってもらいたい。設備投資の先行指標となる機械受注が11月は大きく好転し、回復の期待が高まっていたところに今回の大きな落ち込みである。

新型コロナウイルスが追い打ち

 個人消費も、増税負担軽減策の効果を3カ月で判断するのは尚早で、1月以降に好転する可能性もあった。しかし、そこに新型コロナウイルスが襲ってきた。

 また第一生命研の引用になるが、永濱俊廣主席エコノミストが2月10日のレポートで、SARSの際には、2003年度の日本の経済成長率が-0.2%(0.9 兆円)以上押し下げられたと推計し、「今回も当時と同程度の影響にとどまると仮定しても、2四半期だけで▲1.0兆円以上のGDPが失われることになる」と見ている。そして、中国が景気回復期にあるが、日本は景気が悪化しているので、「悪化が増幅され、タイミングが悪い」と指摘している。

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