ソフトバンクG 孫社長 将来のグーグル、アマゾンを手中に

2月6日のソフトバンクグループの決算発表で、孫正義社長の2時間近い説明会の動画を見た。10兆円ファンドについて詳しくない者にとっては新鮮で面白かった。以下の原稿は、ソフトバンクグループの動向に詳しい人には物足りないかもしれないが、素人視点で見た孫社長の動画についてです。

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ソフトバンクグループ(以下、SBG)の10兆円ファンドがすっかりグループの稼ぎ頭になった。6日に発表した2018年4~12月期(第1~3四半期)決算では、営業利益の4割超を引き続きソフトバンク・ビジョン・ファンドが稼ぎ出した。

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利益の4割超を稼ぐ

6日の決算説明会では、孫正義社長が、2時間近く決算内容を説明し記者からの質問を受けた(動画)。

説明会資料によると(8㌻)、同期の営業利益は、1兆8590億円で、うち8088億円がビジョンファンドのよるもので、稼ぎの二番手、ソフトバンク(通信事業)の6400億円を大きく上回った。SBGが出資している米国の通信大手4位、スプリントは2553億円、検索事業のヤフーは1153億円だった。

1年前の17年度4~12月期にビジョンファンドの営業利益は2364億円、20.5%の割合だった(営業利益全体は1兆1488億円)。伸びが大きい。

すでに18年4~9月期(第1~2四半期)で、営業利益1兆4207億円のうちビジョンファンドは6324億円と44.5%に達しており、孫社長は、「SFGはもはや事業会社ではなく純粋持ち株会社」と投資会社としての性格を打ち出し、その中でも「ビジョンファンドは最も重要な柱」と語った。

株価下落への対応

昨年終盤の株式市場は逆風にさらされ、SBGが大量保有していた米半導体メーカー、エヌビデア(NVIDIA)に株価も9月末から半値にまで暴落、ビジョン・ファンドに4000億円の損失を与えた。しかし、カラ売りで損失をかなりカバーできたため、利益を確保できたと孫社長はちょっと誇らしげに言う。

着実に稼いでいる部隊は、「約300人の専任のマネージャーがロンドン、アメリカ、日本、中国、インドにいて、この1年半(運用を)やっている」(孫社長)。高給でヘッドハンティングしたマネージャーたちだろうが、「1%前後をパートナー(出資者)からマネジメントフィーとしていただいており、(ビジョン・ファンドの)経費をまかなっている」(孫社長)という。

ネットをはるかに上回るAIのインパクト

ビジョン・ファンドが投資する企業はAI関連を中心としたユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)約70社。孫社長は昨年7月にも言っていたが、この日も「AIは人類史上最大の革命になると信じている」と語り、インターネットとの対比で、「ネットがビジネスモデルとして奪い取ったのは、広告と小売りだけだが、AIは自動車、医療、健康、建設、不動産などありとあらゆる産業を再定義する(塗り替える)。ネットよりもはるかにインパクトがでかい。大変大きなパラダイムシフトが起きる」とAIを歴史的に位置付けた。

ビジョン・ファンドはそうしたAIに対する孫氏の展望に基づいて投資しており、「自動車でのAIの筆頭(企業)、不動産の筆頭(企業)など、ナンバーワンのユニコーンをグループにファミリーとして入れている」

ネット時代には500億円しかなかった

孫社長は、グーグルやアマゾン、フェイスブックなどインターネットの巨人たちを手中に収めるチャンスがあったのに、資金不足で逃してしまったという悔恨があるようだ。

将来の産業の覇者について孫社長は、こう述べる。「この10年間で、(世界の上場企業で)時価総額トップ10のうち7社がネット関連になった。10年前は1社しかなかった。インターネットによるパラダイムシフトが起きた。これからはAIが主役になる。トップ10のうち半分以上がAI関連の会社になると信じている」

と同時に、「20年前、インターネット(時代)の入り口では、500億円しか(投資のための)軍資金がなかった。いまは10兆円を用意した。もう一度チャンスがやってきた」とも語る。ビジョン・ファンドはExit(株の売却)を一応のゴールとしているようだが、こうした発言を聞くと将来のAIの巨人たちを傘下に収める野心もありありと感じた。

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