「38 North」 米朝「戦争の序曲」という元国務省高官②

DETHOMAS氏は、トランプ大統領による新しい北朝鮮制裁が「戦争の序曲」である理由を三つ挙げている(ここ)。
第一に、アメリカが船舶の臨検や海上封鎖をせざるを得なくなるからだという。北朝鮮と取引する国、企業を漏れなく制裁するにはそうした強硬措置が必要になってくるからだ。確かに、戦争一歩手前の国際的な緊張を生むのは間違いない。

第二に、金正恩国務委員長の一族や体制のエリートたちが悲鳴をあげる前に、一般国民がモノ不足、失業、飢えに苦しむからだ。体制のエリートたちは、密輸、不法ドラッグ、偽札、大規模なサイバー犯罪で稼ぎ出したブラックマネーがあるので苦しむことはないし、核兵器開発も続けることもできるだろうという。

国民が苦しむことが戦争につながる理由は書かれていない。推測するに、飢餓の悲惨な姿が世界に伝えられ、アメリカ国内でも制裁に反対する声が強まり、制裁を断念する、ならば「ピンポイント空爆」などの軍事的手段に訴えるしかない--という道筋か。北朝鮮国民を助けたいという人道上の理由から、金正恩委員長の排除とミサイル、核施設への空爆に同意する人も出てくるかもしれない。筆者は、「the effort may fail at a high humanitarian cost」と書いている。

第三に、北朝鮮のような貧しい国でも、数週間でその経済を壊滅させることはできない。年単位の時間が必要だ。しかし、北朝鮮がアメリカ全土に到達する核ミサイルを恐らく1年以内で開発するだろう。アメリカには年単位の時間を待つ余裕がない、待てないだろうという理由だ。

トランプ政権の内輪の協議(inner councils)では、すでに「戦争は不可避(war is inevitable)」と水面下(informally)で決めた重要な理由ではないかとDETHOMAS氏は書いている。

DETHOMAS氏は、米国務省で長く勤務、2001年から04年までエストニア大使を務めた。退職後の2010年から13年には国務省のアドバイザーをやっており、その間、イラン、北朝鮮について、制裁の実施と大量破壊兵器の開発を食い止める仕事を続けていたというから、核問題ではアメリカでも有数の専門家と言えそうだ。

日本でもすでに紹介されているかと「ジョセフ・デトマス」で検索したら、9月23日の日経電子版でほんのひとことだけどコメントが載っていた

言いたい放題で、強硬すぎる発言を繰り返すトランプ大統領の危険な外交姿勢に我慢がならず、外交のベテランがレッド・カードを早めに出したのかもしれないが、米朝戦争の可能性を頭から否定しるのは難しくなってきた。

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