北朝鮮危機のタイムリミット

10月は仕事が忙しく、その疲れと反動で11月はブログから遠のいてしまったが、久しぶりにアップしました。

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朝鮮半島核危機がここのところ落ち着いている。北朝鮮は、夏ごろに挑発を繰り返してきたが、9月15日に中距離弾道ミサイル「火星12」(北海道上空を超え襟裳岬東海上に着弾)を発射して以来、ミサイルを発射していない。このまま緊張緩和ムードが続いて米朝対話が始まり、核危機が平和的に解決することを期待したい。しかし、北朝鮮が、「核ミサイル開発を中止した」と言っても、核施設に対する相当に厳重な査察が保証されない限り、アメリカもおいそれと対話に応じないのではないか。仮に対話を始めることができたとしてもいずれ決裂するのではないかという心配は消えない。

理由は二つある。ひとつは、ニューヨークなどアメリカ東部にまで届く核搭載のICBM開発までのタイムリミットである。もうひとつは、過去に二度も三度も約束を反古してきた北朝鮮が本当に核ミサイル開発を止める気があるのかという点である。

タイムリミットとは、核技術を獲得するまでの時間だ。核搭載の弾道ミサイルを開発するには、核爆弾の小型化と大気圏に再突入したときの高温、高圧に耐えられる技術の確立という二つの壁がある。 小型化については、北朝鮮は開発済みだが、再突入技術にはまだ成功していないと見られている。実際、7月28日に発射された長距離弾道ミサイル「火星14」は、上空で明るい光を放った後、光点が徐々に暗くなり、海面に到達する前に弾頭は消滅してしまった。しかし、米国防情報局(DIA)は、2018年中には、再突入技術を確立し、核搭載のICBMを取得すると予測している。

アメリカは、本土到達の核ミサイルを許さないだろうから、ダラダラと交渉を続けるわけにはいかない。タイムリミットがある。逆に、北朝鮮にとっては、1年間の時間を稼げればICBMを手に入れることができる。だから、表面上は、「核ミサイル開発を中止した」と言って交渉を始め、裏で開発を続ければ、1年以内にアメリカに対抗する核の攻撃能力を取得できるわけだ。

いくらなんでも、アメリカをそこまでだませば、戦争は避けられないから、そんなことはやらないとも思える。ただ、北朝鮮は、1994年にカーター元大統領が北朝鮮を訪ずれて危機を回避した時、2003年に六カ国会合の交渉の場を設定して危機を回避した時、そして、2012年の米朝合意と3度も約束を反古してきた。

アメリカも北朝鮮の言葉を鵜呑みにはしないはずだ。あるいは、対話を始める条件をこと細かく、中国のパイプを通じながら水面下で米朝がやりとりしているかもしれない。トランプ政権はいつまで待てるのだろうか。半年も座して待つだけとは思えないのだが。

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