「私はトランプ政権内レジスタンス」とは誰?

「私は、トランプ大統領の計画や最悪の決断を修正するよう誓った」と始まる一文。11月の中間選挙に立候補する民主党の政治家が書きそうな内容だが、この一文、トランプ大統領の足下にいる政府高官がニューヨーク・タイムズに投稿、5日に掲載された匿名原稿の始まりだ。

オバマ政権で同じことが起きたら、「政権内でいったい何が起きているのか」と驚きの目を向けたが、覚えきれないぐらい閣僚や側近が辞めたトランプ政権ならば「さもありなん」と思ってしまう。政権内の不統一は日常茶飯事。

むしろ驚いたのは、ペンス副大統領やポンペオ国務長官、マティス国防長官、ムニューシン財務長官、ニールセン国家安全保障長官、それに、北朝鮮問題では何度もテレビに登場したヘイリー国連大使ら、政権を担う閣僚たちが次々と寄稿を否定したことだ。

コーツ国家情報長官は声明で「私もしくは私の側近が執筆したとの憶測が広がっているが、明らかに誤りだ。われわれは書いていない」と自らに疑いが向けられている現実を認め、それを否定している(ロイター)。
投稿は、「政府高官の多く(many of the senior officials)が内部から大統領の計画や最悪の決断を修正している」と、レジスタンスの動きは大がかりで、その幹部たちはトランプ政権の政治任用(appointees)の役職であることを明らかにしている。

米国の行政は日本と違い、政権が代わると、各省庁の上級幹部は新政権によって任命される。それが政治任用職だが、数千人に達するという。だから、局長級の役職者が投稿しても不思議ではないかなと思っていた。

ところが、政権中枢の面々が次々と潔白を表明しているのだから、投稿者との疑いは大統領の足下に及んでいる状況なのだろう。

どんな「政府高官」なのか、投稿をもう少し読んでみよう。
「われわれは、左派のレジスタンスではなく、望んでいるのは、政権が成功することであり、すでに実行された多くの政策がアメリカを安全にし、反映させた」としている。

ではなぜ、レジスタンスなのかと言えば、「大統領が共和制の健全さを損なうやり方を続けている」、「大統領は道徳性に欠けている」、「共和党員として選ばれたのに、保守が長く信奉してきた、フリーマインド、フリーマーケット、フリーピープルという理念に縁遠い」等々だからだという。

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トランプへの警告か

そして、合衆国憲法修正25条を使って大統領を代えようというささやきも当初、政権内(within the cabinet)にあった。しかし、誰もが、憲法を危機にさらしたくないと望んだために、政権を正しい方向に向かわせるよう努めることになったという。

「政権内」などという言葉を使っているので、確かに閣僚級であることはにおってくる。

このレジスタンスに対し、トランプ大統領は8日、記者団に対し、セッションズ司法長官が匿名投稿者の特定を捜査するべきだと語ったが(ブルームバーグ)、今後、米国政治を動かす問題にまで発展するとは思えない。投稿者は、トランプ大統領にルールを外れすぎると、徒党を組んでの反乱もありうることを警告したのだろうか。

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